近年デジタル化が進む日本では、インターネットにつなげることでより便利になった「IoT家電」が続々と販売されています。なかでも、最近はお家の鍵をスマホで開け閉めできるスマートキー・スマートロックが注目されているのだとか。そこで、さまざまなメディアで活躍する家電ライター兼アドバイザーの藤山哲人さんに、お家用スマートキー&スマートロックの使い方や注意点、オススメ商品などを伺いました。
お話を伺った藤山哲人さん プロフィール
家電の紹介やしくみ、選び方や便利な使い方などを紹介するプロの家電ライター。独自の測定器やプログラムを開発して、家電の性能を数値化(見える化)し、徹底的に使ってレビューするのをモットーとしているため「体当たり家電ライター」との異名も。「マツコの知らない世界」(番組史上最多の6回出演)や「アッコにおまかせ」、「NHKごごナマ」などをはじめ、朝や昼の情報番組に多数出演。現在、インプレスの「家電Watch」「PC Watch」や「文春オンライン」「現代デジタル」などのWeb媒体、ABCラジオで連載やコーナーを持っている。
家電ライターの藤山哲人です。スマホでお家の鍵を開け締めできるスマートキーやスマートロックは、発売当初よりも価格が安くなったことで、最近かなり流行っています。いろいろなメーカーから発売されているので種類は多いのですが、今回は私が実際に使ってみて良いと思ったものを厳選してご紹介したいと思います。便利な使い方や思わぬ落とし穴についてもお話しますので、ぜひ参考にしてみてください。
自宅の鍵をIoT化! スマートキー・スマートロックとは?
スマートキーやスマートロックとは、鍵本体を挿して使わなくてもスマホなどの電子機器で開錠と施錠ができるシステムのこと。メーカーによって、キーやロックと名称が異なりますが、基本的な機能は変わりません。車のキーなんかも今はほとんどがスマートキーですね。住宅用のものは、玄関ドア内側の回転式つまみ「サムターン」部分に取り付けて使用します。工事などが必要ないものも多く、両面テープで貼り付けるタイプなら取り付けも簡単、ドアに傷が付くこともありません。しかし、サムターンの形に合わないと取り付けることができないので、購入する際はきちんと確認して選びましょう。
玄関の施錠と解錠をスマホでできるスマートキーやスマートロックは、鍵を閉め忘れることが多い方や鍵をなくしがちな方にオススメです。専用アプリに鍵の開閉記録が残るので、外出後に「鍵閉めたっけ?」と思ったときに確認することもできますね。また、アプリを入れることで家族間のシェアも可能。操作方法はシンプルなので、子どもからお年寄りまで問題なく使えると思いますよ。アプリ上で施錠や解錠の通知を受け取ることもできるので、お子様の外出や帰宅も確認できます。留守番を任せる日が多い共働きのご家庭でも役に立つんじゃないでしょうか。
電池切れやセキュリティは大丈夫? スマートキー・スマートロックの注意点
スマートキー・スマートロックを使うときに注意したいのが“ふたつの電池切れ”です。ひとつは「スマホの充電切れ」。充電残量の少ないスマホを持って外出し、出先で電源が落ちてしまったという経験がある方も少なくないでしょう。そうなるとスマホから解錠することはできなくなってしまいます。
そしてもうひとつ、気を付けるべきは「本体の電池切れ」です。スマートキーやスマートロックはドアの内側に設置するものなので、外から電池を交換することはできません。つまり、本体の電池が切れてしまっていたら、外から鍵を開けられないわけですね。電池の残量がアプリで確認できたり、電池切れが近づくと本体が点滅して教えてくれたりするので、気づいたら電池交換するようにしましょう。点滅の通知があったときにすぐ交換しないと、早々に使えなくなるものもあるので要注意。当然のことながら使ったぶんだけ電池を消耗しますから、面白がって開閉しすぎないよう注意してくださいね(笑)。
ただ、スマホや本体の電池切れでスマートキー・スマートロックでの開錠ができなくなった場合でも、実際の鍵を持っていれば開けられるので、「電池切れ=お家に入れない」というわけではありませんのでご安心を。とは言え、鍵を持ち歩かない生活がしたい方は、スマホの充電と本体電池の残量チェックはしっかりしておきましょうね。
スマートキーやスマートロックを検討する際に、気になるのがセキュリティ面。スマホのアプリ連携で施錠・開錠するタイプはBluetoothを利用するので、鍵のデータを盗まれるのが不安と思われるかもしれません。しかし、ネットワーク上でデータが盗まれる可能性はゼロではないものの、Bluetoothのハッキングは難しいこともあり、お家用のスマートキー・スマートロックがハッキングされたという事例を耳にしたことはないですね。私も実際に使ってみて、セキュリティ面でのトラブルはありませんでした。セキュリティ面でより安全性の高いものを求めるなら、オフィスなどでよく見られるICカード式のタイプを選ぶのが良いでしょう。ここからは、私がとくにオススメしたい商品をご紹介しますね。
どんな鍵でも対応できる!? 「SESAME(セサミ)」シリーズ
「SESAME(セサミ)」シリーズのスマートロックは、家庭用スマートキー・スマートロックの先駆け的な存在です。このセサミを発売するCANDY HOUSE(キャンディハウス)の代表が学生時代にソフトウェアを開発し、2015年にはアメリカでのクラウドファンディングで1.4億円もの資金を集めて大きな話題を呼びました。その後も現在に至るまでセサミはバージョンアップを繰り返し、より便利で使いやすくなっており、今後の進化も期待されるスマートロックです。アプリ操作での解錠・施錠だけでなく、自動的に施錠できるオートロック機能やスマホをポケットや鞄に入れた状態でドアに近づくと解錠できるハンズフリー機能も搭載しています。
セサミのオススメポイントのひとつが、対応できるサムターンの種類がとても多いこと。日本には1,000種類以上の鍵があると言われますが、セサミはそのほとんどに合うようつくられています。取り付けられないタイプの鍵のために660円でアダプタ作成も受け付けているので、対応の幅はかなり広いですね。また、大きさは約9センチ×約6センチ、重さも100グラム程度と、コンパクトかつ軽量で取り付けやすい点も魅力。さらに、電池がより長く保つように改良を続けており、最新の『SESAME4』では1日10回ドアの開閉をするとしても550日間ほど使い続けられるようになったそうです。価格も約5,500円とリーズナブルなので、手軽に導入できるのも良いですね。
ちなみにセサミシリーズにはドア用のスマートロックだけでなく、部屋の照明スイッチに取り付けることでスマホからオンオフができる『SESAME bot』や自転車用の『SESAME サイクル』なども販売しています。SESAME botは3,300円ほど、SESAME サイクルは4,400円ほどとお手頃ですし、何よりアイディアが面白いと思います。向上心とアイディアに溢れるセサミシリーズ、ぜひチェックしてみてくださいね。
多彩な解錠方法が魅力! 「Qrio Lock(キュリオロック)」
「Qrio Lock(キュリオロック)」は、前述のセサミに次いで登場し、人気を二分しているスマートロックです。セサミが発表された後に同じシステムのキュリオロックが発売されていることから、セサミのホームページでは商品比較がされているなど、競合として意識していますね。株式会社Qrioは、2017年にソニーの子会社となり、今後もソニー資本のもとでさらに進化すると予想されます。
キュリオロックのオススメポイントは解錠方法が豊富なこと。スマホアプリでの施錠・解錠や、オートロック機能、ハンズフリー機能はもちろん、キュリオロックと連携して使えるリモコンキーの「Qrio Key(キュリオキー)」や専用のカードが鍵になる「Qrio Pad(キュリオパッド)」など、いろいろなオプションがあるんです。専用のリモコンキーやカードキーを用意すれば、スマホを持っていないご家族がいても使うことができますね。価格は本体が約25,000円、キュリオキーは5,000〜6,000円、キュリオパッドは22,000円ほどとなっています。
セキュリティ強化には「テンキー式」や「電気錠」がオススメ
スマートキーやスマートロックは気軽に導入できて便利なアイテムですが、お家の鍵と言えばセキュリティ面を重視する方も多いですよね。そんな方にオススメしたい設備やシステムについてもお話いたします。
美和ロックの『PiACK II smart(ピアック2スマート)』
お家のセキュリティ強化としてオススメなのが、鍵メーカー美和ロックの『PiACK II smart(ピアック2スマート)』。ドアの内側と外側、両方のサムターン部分に取り付けて使う機器です。使うときにデータを読み取られる心配のないカードキー、あるいは暗証番号を打ち込むテンキーから認証モードが選べて、さらに両方を使わないと開けられない「AND認証モード」も選択することができます。価格は40,000〜60,000円とお高めですが、セキュリティ強化にはピッタリのアイテムだと思います。工事は不要なので、賃貸物件でも使うことができますよ。
パナソニックの『電気錠システム』
セキュリティ強化を徹底するなら、パナソニックの『電気錠システム』もオススメです。電気錠は鍵を使わずに施錠や解錠が可能なシステムですが、電池式のものとは違い、電気配線によって稼働する仕組みになっています。パナソニックの電子錠システムは、暗証番号を入力する「シークレットスイッチ」を使用するほか、登録した非接触式カードや非接触式タグを鍵として使うことができます。簡単に開けられない、情報を読み取られることがないのはもちろん、ドアをこじ開けようとすると警報が鳴るなど防犯に適した仕様になっていますね。こちらは導入するのに工事が必要なので、新築時やリフォーム時に検討すると良いでしょう。
家庭用スマートキーやスマートロックは便利?家電のプロが教えるメリット&デメリット まとめ
ハンズフリーでお家の鍵を開けられたり、鍵を締め忘れて出かけてもしっかり施錠してくれたりと、お家用のスマートキー・スマートロックはとても便利なアイテムです。そして何より、今まで鍵を差し込んでガチャガチャやっていたドアが、スマホですぐに開けられるという“面白さ”が醍醐味だと私は思いますね。価格もお手頃になってきた今、暮らしを楽しく豊かにするアイテムとしてお家に導入してみてはいかがでしょうか?
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