女性一級建築士が解説!家事を楽にする間取りと室内干しに適したお家づくりのポイント

「家事の負担を減らしたい」という考えで、新築一戸建てを検討する方が増えているそうです。では、住まいのプロはそのような要望に対し、どのようなことを意識して提案しているのでしょうか。一級建築士のしかまのりこさんに、家事を楽にする間取りや室内干しに適した家づくりのポイントなどを伺いました。

しかまのりこ プロフィール
しかまのりこ プロフィール

COLLINO(コリーノ)一級建築士事務所代表
「~地球にやさしい 家族にやさしい~」をコンセプトに、延べ5,000件以上の住戸の設計・検査・審査に携わる。また、これまで300軒以上のリビング・寝室・子ども部屋の模様替えをおこなった実績から、模様替えのスペシャリストとして、日本テレビ「ZIP!」、テレビ朝日「グッド!モーニング」、扶桑社「住まいの設計」、小学館「週刊 女性セブン」などのテレビ・雑誌でも活躍中。
 書籍「狭くても快適に暮らす、家具配置のルール」(2021年2月彩図社より発売予定)
 https://collino-home.com

一級建築士のしかまのりこです。今回は家事が楽になる家づくりについて、ご紹介します。家事の負担を減らしたいというご要望は以前に比べて増えており、私もさまざまな提案をさせていただきました。共働きで忙しい方などの手間が少しでも省けるよう、簡潔にまとめましたので、ぜひご参考にしてみてください。

家事が楽になる新築一戸建てづくりのポイント

1フロアですべての家事が完結する間取り
1フロアですべての家事が完結する間取り

1フロアですべての家事が完結する間取りをつくる

これから新築一戸建てを建てられる方には、1フロアですべての家事が完結できるような間取りをオススメします。キッチン、ランドリールーム、衣類収納などをひとつのフロアに集約させることで、一連の作業をスムーズにできるからです。

多くの方にとって、家事は時間を決めてやるものではなく、忙しいなかで合間の時間を見つけて行うものだと思います。料理をしながらでも、洗濯物を干す、畳むといった作業ができるように、なるべくキッチンとランドリールームの動線を短くしておきましょう。

家事動線上に引き戸の収納スペースをつくる

先ほど述べたとおり、家事動線を縮めることは大切ですが、それと同じくらい収納にも気を配りましょう。キッチンや廊下のそばにパントリー、掃除道具入れなどの収納スペースをつくると、必要な物をすぐに取り出せますし、使った後もすぐに戻せるのでとても便利です。その際は動線上の邪魔にならないよう、キッチンや廊下、ランドリールームの扉は可能な限り引き戸にするといいでしょう。

洗濯の負担を減らせる新築一戸建てづくりのポイント

家事のなかで、洗濯が一番の負担になっていませんか? ここからは、室内干しと外干し、その両方に適した間取りや設備をご紹介します。

室内干しがしやすい間取り・設備

室内干し前提のお家では寝室の収納はできるだけ多めに取る
室内干し前提のお家では寝室の収納はできるだけ多めに取る

寝室はウォークインクローゼットや押入れなどの収納を充実させることが多いため、室内干しに適したスペースと言えます。寝室であれば干している衣類を畳むことなく、そのまま着ることも可能ですし、収納作業もスムーズに行えるため、より手間を省きやすいでしょう。室内干し前提のお家をつくる場合、寝室の収納(ウォークインクロゼットなど)はできるだけ多めにとってください。リビングダイニングで室内干しをするというケースもありますが、物が溢れやすい共用スペースに洗濯物を干すのはあまりオススメできません。

24時間換気扇を2階トイレに設置した場合の空気の流れかた
24時間換気扇を2階トイレに設置した場合の空気の流れかた

また、廊下も室内干しのスペースとして適しており、ファミリークローゼットを近くに設ければ、干した物をすぐに収納することができます。ポイントは24時間換気システムを効率的に使うこと。各部屋の給気口から取り入れた新鮮な空気が換気扇に向かって流れていくので、空気の通り道に洗濯物を干すことで、より早く乾かすことができます。

外干しがしやすい間取り・設備

ランドリールームから物干しスペースまでの動線を短くした間取り
ランドリールームから物干しスペースまでの動線を短くした間取り

上の間取り図は、外干しを希望される方に向けてご提案した例です。 この間取りでは、ランドリールームから外部の物干しスペースまでの動線を短くしています。取り込んだ洗濯物は「リビング学習コーナー/家事コーナー」で畳み、畳んだ洗濯物をすぐに収納できるよう、隣にリビングクローゼットを配置しました。日常的に使用する普段着はこちらにしまい、季節物の衣類は各個人の部屋にしまうイメージです。

室内干しと外干しを使い分けられる間取り・設備

室内干しと外干しを使い分けられる間取り
室内干しと外干しを使い分けられる間取り

室内干しと外干し、どちらがいいかは好みが分かれるかと思います。しかし1番の理想は、そのどちらにも適した間取りではないでしょうか。上の間取り図は、その理想を実現するためにご提案したものです。ランドリールームの隣に室内干しと外干しスペースを隣接してつくれば、その日の天気に合わせて干し方を変えられます。またランドリールームに「リネン収納」を設けることで、取り込んだ洗濯物を楽に収納できます。

掃除の負担を減らせる!?リビングが散らからないための工夫とは?

最後に、新築時だけでなく、今の住まいにも使えるリビングが散らからないための工夫をご紹介します。お客様に家事についてのお悩みを伺うと、リビングがなかなか片付かないと答える方がとても多く、特にお子様がいるご家庭では、その傾向が顕著になりますね。掃除の負担を減らせれば、今より家事が楽になるはずなので、ぜひご活用ください。

リビングを3つの空間に分ける

リビングが物置状態になる「リビング崩壊」
リビングが物置状態になる「リビング崩壊」

リビングが物置のような状態になり、快適に生活しづらくなることを、私は“リビング崩壊”と名付けています。 これを防ぐには、まず、リビングの空間を家族がくつろげるスペース、学習スペース(テレワークスペース)、収納スペースの3つに分けます。テーブルやソファなどの大きめの家具がまばらに配置されていると、部屋が必要以上に狭くなるので、家族がくつろげるスペースは一点にまとめましょう。さらに学習スペース(テレワークスペース)と収納スペースを独立させることで、物が散乱しない、片付けやすいリビングになります。

リビング学習・テレワークスペースには必ず専用の収納を設置

デッドスペースを効果的に活用して収納棚を作る
デッドスペースを効果的に活用して収納棚を作る

リビングにお子様の学習スペースやテレワークのワーキングスペースを設けると、使う道具が増えるため、必然的に物が散らかりやすくなってしまいます。なので、専用の収納スペースをつくるといいでしょう。ポイントはデッドスペースを効果的に活用することです。

上の図ではカウンターデスクと壁の間に、市販の木材とDIYパーツを組み合わせて、収納棚をつくっています。プリンターやパソコンのほかに、学習用品などを収納できるので、リビングが散らかりにくくなります。

家事が楽になる家づくり まとめ

新築一戸建てを建てる場合、まずは間取り図をつくってから細かい部分を検討することになるかと思います。その際は、間取り図に矢印を引いて、家事動線を確認するといいでしょう。動線を明確にした上で、どこに収納スペースを置くかを考えると、家事のしやすい家づくりができるはずです。

家事を楽にする方法をもっと知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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