家電量販店に行くと、IoTに対応した家電やスマートスピーカーが多数販売されていますが、「家電と何がどうつながって、どんな風に便利になるのかわからない……」という方も多いのではないでしょうか。そこで、家電ライター兼アドバイザーの藤山哲人さんにオススメのIoT家電について伺いました。
お話を伺った藤山哲人さん プロフィール
家電の紹介やしくみ、選び方や便利な使い方などを紹介するプロの家電ライター。独自の測定器やプログラムを開発して、家電の性能を数値化(見える化)し、徹底的に使ってレビューするのをモットーとしているため「体当たり家電ライター」との異名も。「マツコの知らない世界」(番組史上最多の6回出演)や「アッコにおまかせ」、「NHKごごナマ」などをはじめ、朝や昼の情報番組に多数出演。現在、インプレスの「家電Watch」「PC Watch」や「文春オンライン」「現代デジタル」などのWeb媒体、ABCラジオで連載やコーナーを持っている。
家電ライターの藤山哲人です。皆さんはIoTという言葉を耳にしたことはありますか? IoT(アイオーティー)とは“Internet of Things”の略で、インターネットをつなげて遠隔操作できるようになった家電は「IoT家電」と呼ばれています。メーカーによっては「コネクティッド家電」と呼ぶところも。 CMでよく見かけるスマートスピーカーやスマホと連動して操作できるスマート家電もIoT家電に含まれますね。今回は、私が実際に使ってみて便利だと思ったIoT家電製品をご紹介します。
パナソニックのワイヤレスモニター付きテレビドアホン『VL-SWD505KS』
おうちに子どもが帰ってきたときに親御さんが玄関口まで行かなくても、音声で「鍵を開けて」と言えば解錠できる便利なオプションのあるドアホンです。外出中でもスマホからモニターの映像を確認したり、最大10分間の通話ができたりするので、お子様の帰宅確認だけでなく、宅急便の応対に使うこともできますよ。 また、別売の「みまもりリモコン」を使えば、リモコンを持ったご家族の外出や帰宅がスマホに通知されるので、いつでも居場所が分かってより安心です。
パナソニックのIoT対応冷蔵庫『NR-F657WPX』
毎日のように食べ物を買って冷蔵庫に詰め込んでいたら、奥から賞味期限切れの食材が出てきた……というのは、食べ盛りのお子様のいるご家庭ではよくある話だと思います。そこでオススメなのが、冷蔵庫に入っている残りの食材を教えてくれる機能の付いた『NR-F657WPX』。
この製品は、「重量検知プレート」とキッチンポケットアプリを使って、食材のストックを管理できます。たとえば、卵の残量が少なくなると、アプリから「卵は残り○○%」とお知らせが来るわけです。賞味期限が近づいたらお知らせしてくれる機能があるのもうれしいですね。また、1週間あたりの食材消費量もわかるので、消費ペースを把握しながら効率的に買い物ができるようになるでしょう。
省エネにも対応していて、まとめ買いをしたらその分だけ冷蔵庫内をしっかり冷却、食材が減ると省エネ運転に切り替えてくれるなど、節電をアシストしてくれます。さらに、スマホのGPS機能とも連動可能。外出を検知すると節電を重視する「お留守番モード」に自動で切り替わったり、買い物先にいるということがわかれば、まとめ買いを予測してあらかじめ冷却してくれる「お買い物準備モード」になったりするAIエコナビ機能が付いています。
ロビットの自動カーテン開閉機器『mornin’ plus』
朝が苦手でどうしても起きられない! そんな方は太陽の光を浴びて目覚めましょう。IoT対応の自動カーテン開閉機器『mornin’ plus』は、設定した時間になると自動的にカーテンが開け閉めされ、曜日ごとの設定も簡単にできます。帰りの遅い日や長期旅行中でもスマホでカーテンを開閉できるので、防犯にも一役買ってくれることでしょう。 価格は7700円ほどで、家族みんなのスマホで操作できます。私は『mornin’ plus』を使ってみて、“親御さんが寝ている子どもの部屋に入り、カーテンを開けると子どもが起きる”というルーティーンを再現できると感じましたね。
パナソニックのスチーム&可変圧力IHジャー炊飯器『SR-VSX1』
お米が大好き、お米を美味しく食べたい、という方にピッタリなのが、パナソニックから2021年6月に販売予定の炊飯器『SR-VSX1』です。スマホからお米の銘柄を入力すると、そのお米に合ったベストな炊き方をしてくれます。しかも、同じ銘柄でも年によって日照不足や長雨などで“できばえ”が変わるため、炊飯プログラムが毎年アップデートされるようになっています。 記者発表で炊き上がったお米を実際に食べたのですが、お米の鮮度(精米からの経過)を自動判定して炊き分けるので、ほかの炊飯器とは一味違いましたね。
また、「銘柄コンシェルジュ」という機能も付いていて、問診を回答するだけで、オススメの銘柄を提案してくれたり、外出先から炊きあがりの時間を設定できたりと、とても面白くて便利です。インターネットを使って、“お米を美味しくいただくこと”を突き詰めた炊飯器と言っても過言ではないでしょう。
スマートスピーカーを選ぶなら? 『Googleアシスタント』vs『Alexa』
AIアシスタントが搭載された「スマートスピーカー」は、IoT家電を音声操作することもできる機器です。スマートスピーカーはGoogleやAmazon、Apple、LINEのほかにも、さまざまなメーカーから発売されていますが、そのなかで私が特にオススメしたいのがGoogleの『Googleアシスタント』とAmazonの『Alexa』のふたつ。それぞれどのような特徴があるのかを比較して解説します。
インストールなどの初期設定
●Googleアシスタント
細かい命令を音声でできるようになりますが、その分Googleと対象家電のつながりを理解していないと、設定難易度が高いと感じるかもしれません。とは言え、何度か設定すれば慣れると思います。
●Alexa
細かい設定はなく、スキルをインストールして使用します。ロールプレイングゲームでキャラにスキルを覚えさせるイメージで、家電ごとにスキルを割り振る感じでしょうか。
おしゃべり感
Googleアシスタント
日本語を認識する性能や、検索、質問への回答などが優れていて、人間と話しているような感覚でおしゃべりできるのが楽しいですね。「笑える話をして」とお願いすると、欧米感覚のジョークを話してくれます。
Alexa
一昔前のロボットと話しているような、少しぎこちない感じで会話をします。こちらは「笑える話をして」とお願いすると、落語のようにオチがある話をしてくれるので、日本人の笑いのツボには合っていると思います。
便利 & 面白いポイント
Googleアシスタント
Googleと連動して現在地情報を特定し、すばやく周辺施設の検索結果を出してくれます。音楽を探しているときはタイトルや歌手名を伝えなくても、鼻歌や口笛だけで楽曲検索をしてくれるのでとても便利。ピカチュウと話せる隠しコマンドがあるなど、面白い隠し技もありますよ。
Alexa
Amazonを通じてネットショッピングがしやすく、買い物リストを管理できる機能も便利です。また、バスや電車の情報を入れると、次の発車時刻を教えてくれる機能があるので予定が立てやすくなりますね。声優さんの可愛い声やイケメンボイスで、今の時間や今日のスケジュールなどを答えてくれるスキルもありますし、昔懐かしいファミコンの隠しコマンドが使えるなど、要所に遊び心が仕込まれています。
どちらも機能は一長一短なので、自分が欲しいと思う機能があるものを選んでみてはいかがでしょうか。
おうちにある普通の家電がIoT家電に進化!? プロがオススメする「スマートリモコン」とは?
スマートスピーカーを使えば、照明やテレビなどの電源を音声でオンオフしたり、明るさや音量の調整ができたりしますが、当然のことながら非対応の家電もあります。そんなときにオススメなのが、「スマートリモコン」。これは、赤外線リモコンで操作できるほとんどの家電製品をIoT化するもので、おうちにある普通のエアコン、照明、テレビなどを音声操作できるようにする優れものです。
私が実際に使ってみて、特に便利だと感じたのは、シーリングライトをオンオフできることですね。地味に思われるかもしれませんが、両手が塞がっていても照明をオンオフできますし、夜中トイレに起きたとき、リモコンが見つからなくても明かりを付けられるので、本当に便利なんですよ。
数多く販売されている「スマートリモコン」のなかで、一番便利だと感じたのはNatureの『Nature Remo』です。メーカーや型番・年式などに関係なく、赤外線方式のリモコンが使える家電であれば接続可能で、設定方法も簡単。スマートスピーカーと連携して、各家電を音声操作できるだけでなく、外出先からスマホを使って操作することもできます。
音声やスマホで玄関の施錠・解錠ができる『Qrio Lock』
『Qrio Lock』は、スマホからの遠隔操作で鍵を開けたり閉めたりできるようになるデバイスで、今ある玄関の鍵を取り替えることなくIoT化することができます。別売の『Qrio Hub』を使うと、『Nature Remo 3』と連携できて、音声による解錠・施錠も可能に。個人的に良いと思ったのは、外出中でも鍵が開いているか閉まっているかの確認ができる点ですね。 鍵を持ち運ぶ必要もなくなりますし、施錠や解錠をすると、スマホに通知が届くので安心です。
使用上の注意点
スマートリモコンは大変便利で使いやすい家電ではありますが、危険性を十分に理解してから使うようにしてください。とくに危険なのは、玄関の鍵を遠隔で開けるとき。“施錠”と“解錠”は間違えないように気を付け、音声認識の場合は鍵を開ける“ワード”が外部に漏れないよう注意しましょう。便利なものには思わぬ落とし穴があるということを忘れないようにしてください。 また、電気ストーブやファンヒーターなど、熱を発する家電とスマートリモコンをつなげるのは、火事の原因にもなりうるので控えるのが無難です。
本当に便利なIoT家電とスマートスピーカーの使い方 まとめ
今回ご紹介したIoT家電は、便利なだけでなく、使っていて楽しいものばかりです。これだ! と感じるものがございましたら、注意点をおさえつつ、ぜひ使ってみてください。きっと、家電の未来を感じられるはずです。
家電ライター藤山さんのおススメ家電はまだまだあります。
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