ジメジメとした梅雨の時期に悩まされることが多いのが、湿気やカビ・ダニの繁殖です。そして、もうひとつ困るのが雨で洗濯物が外に干せなくなること。これらの問題を解決するには、どうすれば良いのでしょうか? 多数のメディアで活躍中の人気家電ライター兼アドバイザーの藤山哲人さんに、梅雨対策にピッタリなオススメ家電を教えていただきました。
お話を伺った藤山哲人さん プロフィール
家電の紹介やしくみ、選び方や便利な使い方などを紹介するプロの家電ライター。独自の測定器やプログラムを開発して、家電の性能を数値化(見える化)し、徹底的に使ってレビューするのをモットーとしているため「体当たり家電ライター」との異名も。「マツコの知らない世界」(番組史上最多の6回出演)や「アッコにおまかせ」、「NHKごごナマ」などをはじめ、朝や昼の情報番組に多数出演。現在、インプレスの「家電Watch」「PC Watch」や「文春オンライン」「現代デジタル」などのWeb媒体、ABCラジオで連載やコーナーを持っている。
家電ライターの藤山哲人です。梅雨特有のジメジメした湿気もですが、カビ・ダニが屋内に発生するのは本当に嫌なものですよね。今回は、カビ・ダニの繁殖を抑える空気清浄機や空気除菌機のほかに、オススメのふとん乾燥機や部屋干し機能付きの衣類乾燥除湿機など、梅雨を乗り切るための家電をご紹介します。
湿度をコントロールしてカビとダニの発生を防ぐオススメ空気清浄機
カビやダニは一般的に湿度が高いと発生しやすくなるので、なるべく部屋の湿度は50~60%に保ってあげましょう。カビ・ダニ対策としてオススメなのは、除湿機能付き空気清浄機の設置ですが、扱っているメーカーは少ないので候補が絞られてきます。そのなかでも特に効力を発揮してくれるのが、ダイキン製の空気清浄機です。
除湿と加湿のダブル方式! ダイキンの『うるるとさらら空気清浄機』
2021年モデルとして発売された『うるるとさらら』シリーズの空気清浄機は、温度の変化をセンサーが検知して、除湿と加湿を自動で切り替える機能が付いています。カビやダニ対策としてオススメする理由は除湿機能があるという点に加えて、内部に「ストリーマ」というユニットが付いていること。ストリーマとはダイキン独自の空気清浄化技術で、放電により有害物質を酸化分解するというものです。 さらに従来のストリーマが「ツインストリーマ」に改良され、カビなどの汚れに対する分解力も2倍になっています。フィルターは撥水・撥油の加工が施された(HEPAフィルター互換の)TAFUフィルターが採用されていて、集塵能力が高く汚れが広がりにくいのが特長。フィルター交換の目安は約10年というのもうれしいですね。このシリーズの空気清浄機は10万円ほどで購入できます。
室内の臭いが特に気になる方には「空気除菌機」がオススメ
ダニやカビ対策に使えて、梅雨特有のジメジメとした臭いを消臭できる「空気除菌機」も、梅雨にピッタリな家電です。販売するメーカーによって呼称は違いますが、特にオススメしたいのはマクセル製とパナソニック製になります。
マクセルのオゾン除菌消臭器『オゾネオエアロ』
マクセルの『オゾネオエアロ』シリーズは、サイズがコンパクトで置き場所に困ることはなく、公式ショップでは2万円ほどで購入できます。オゾン生成量と風量を3段階でコントロールできるので、1~20畳までの部屋で使えるのも素晴らしいですね。
オゾネオの魅力は「オゾン」の強い酸化の力で、カビ菌や梅雨特有の臭いのもとを分解できるところです。オゾンはホテルや食品工場でも使われていて、安全性も確認されているので、使用方法をきちんと守れば有害になることはありません。
パナソニックの空間除菌脱臭機『ジアイーノ』
パナソニックの『ジアイーノ』は、「次亜塩素酸」を放出し、カビやダニの発生自体を抑えるという優れもの。次亜塩素酸は菌の表面だけでなく、内部まで浸透してすばやく作用するため、消臭スピードが速いのも特長です。
ちなみに、ジアイーノが使用する次亜塩素酸は、水道水の浄化や哺乳瓶の専用消毒剤など、私たちの身近なものに含まれている成分です。菌などの有機物と反応すると水に戻るので、不安を感じることなく使うことができますよ。
梅雨の湿気対策に! オススメふとん乾燥機3選
梅雨はふとんが干しにくいので、ジトジトになりがちですが、ふとん乾燥機には湿気だけでなくダニ対策の機能が搭載されているものもあるので、それらを活用すると良いでしょう。2021年春現在のオススメモデルを3つご紹介します。
コンパクトで使いやすい! アイリスオーヤマのふとん乾燥機『FK-WH1』
最大の特長は、コンパクトなのにハイパワーな点です。「ターボモード」を使えば、3分半ほどでふとんをあたためることができ、最短20分で乾燥も可能。50度以上の温風が出る「ダニモード」も搭載されていて、専用の「ダニ撃退ふとん乾燥袋」を使用すると、ふとんに潜むダニを99%以上減らすことができます。 また、2枚のふとんを同時に乾燥できる「ツインノズル」や梅雨時に濡れがちなブーツやくつを2足分一気に乾かせる「くつ乾燥アタッチメント」も付いて、価格は17800円ほどです。
カビ対策も可! 日立のふとん乾燥機『HFK-VS2500』
独自のV字型「ふとん乾燥アタッチメント」で、湿気のたまりやすい敷ふとんの表面と裏面、両面の乾燥が可能。カビの生えやすい裏面もスピード乾燥できるので、湿気やダニ対策だけでなく、カビ対策もできます。 約90cmのロングホースが付いているので、高さのあるベッドでも使用できますし、「くつ・ブーツ乾燥アタッチメント」を使えば、膝くらいまであるロングブーツを乾かすこともできるでしょう。価格は12000円ほどとなっています。
プラズマクラスターでダニ対策! シャープのふとん乾燥機『UD-DF1』
「プラズマクラスター」からイオンを放出して、付着アレル物質を抑制できるのが、このふとん乾燥機の特長で、ダニだけでなく、カビ臭や寝汗の臭いなどもしっかり消臭してくれます。効率的に風が流れる「きのこアタッチメント」を採用しているので、広い範囲に温風とイオンを届けることができますし、付属の「くつ乾燥アタッチメント」を使えば、くつやブーツを消臭・乾燥させることも可能。 軽量でコンパクトなので、すっきり収納できるのもうれしいですね。価格は16000円ほどです。
浴室のカビも撃退! 今売れている「高圧洗浄機」とは?
梅雨や夏の時期、いつのまにか浴室の壁にカビが繁殖していた……ということはありませんか? そのような方に知ってもらいたいのが、水を勢いよく噴射して汚れを落とす「高圧洗浄機」です。そのなかでもケルヒャー製のものが人気で、住宅街やマンションでも気兼ねなく使える静かなモデルも発売されるようになりました。体感音は従来モデルの約半分で、「高圧洗浄機はうるさい」というイメージを覆す静かさが魅力です。
浴室や排水口に付着した目に見えるカビは高圧洗浄機で落とし、その後シーリングに入り込んだカビを、カビ取り剤などの漂白剤で取るのが効率的でオススメです。浴室のカビ対策以外にも、お家の外壁に付着した汚れ、マウンテンバイクやキャンプ道具なども洗うことができます。 オプションの自吸用ホースとフィルターを付けると、お風呂やバケツなどの水から吸水して使用できるので、便利ですね。水道から直接つなぐ場合は、水栓側にジョイント器具を付けなければいけません。最初から付属しているホースは短く、延長するための耐圧ホースが必要になるかと思いますので、あらかじめ用意しておきましょう。
ケルヒャーの高圧洗浄機サイレントモデルの価格は25000~63000円ほど。水ハネ防止ガードが付いているタイプ、コードレスでバッテリー式のタイプなども売られているので、環境に応じて選びます。また、噴射した水が体に当たるととても痛いので、本当に痛かったので、近くに人がいるときは、当たらないように気を付けて使用してください。
梅雨でも早く乾かせて便利! 部屋干しには「衣類乾燥除湿機」
梅雨はなかなか外干しできないので、部屋干しの機会が多くなると思います。部屋干しだと、乾きにくいうえに臭いが気になりますよね。そんなときは「衣類乾燥除湿機」を活用しましょう。
最新の光ガイド搭載! 三菱の衣類乾燥除湿機『MJ-M120RX』
私が特にオススメしたいのは、三菱の『MJ-M120RX』です。このモデルは「部屋干し3Dムーブアイ」搭載タイプで、さらに「光ガイド」が付いています。
部屋干し3Dムーブアイは、赤外線・温度・湿度の3つのセンサーで、窓や壁や洗濯物の表面温度・湿度を検知し、風向きや風量を自動で調整してくれる機能です。この機能によって、効率的に部屋干しができるわけですね。
光ガイド機能は、どこに向けて風を送っているかをレーザーポインターで示す機能で、レーザーが当てられていない洗濯物は風を送られていない、つまり、“乾いている”ということが視覚的に分かるようになります。目で見て楽しいだけでなく実用的で、価格は33000円ほど。湿度の高い日本では梅雨だけでなく、夏にも重宝します。
ほかにも「3次元広角狙えルーバー機能」で広範囲の洗濯物をすばやく乾かすことができますし、「ズバッと乾燥モード」を使えば、光ガイドで狙いを定めて、高速集中乾燥が可能。お子様の体操着や内履きなどもすぐに乾かせるので、忙しい朝の強い味方です。13.5kgと重量はありますが、キャスターが付いているので楽に移動できて、リビングやランドリールーム、浴室に持って行って使う方が多いようです。 部屋を集中的に乾燥させる「部屋サラリ」運転や、浴室の水滴や湿気を乾かす「浴室カビガード」運転などの機能も付いていて、どこでも効果的に使えるのもオススメポイントですね。
コスパ抜群! アイリスオーヤマの衣類乾燥除湿機
リーズナブルなものをお求めならアイリスオーヤマの衣類乾燥除湿機がオススメです。どの商品もコスパに優れているので、使いたい季節に応じて、下記の2タイプから選ぶと良いですね。
●梅雨の時期や夏場には「コンプレッサー式」の衣類乾燥除湿機『DCE-6515』
室内の空気を吸って、その空気を冷やすことで空気中に含まれる水分を結露させる方式の衣類乾燥除湿機です。価格は15800円ほどで、室内の温度を上昇させることなく使用できるので、梅雨や夏に向いています。
●寒い季節には「デシカント式」の衣類乾燥除湿機『IJD-I50』
室内の空気を吸い、ゼオライトという吸収性の良い乾燥剤のようなものに空気内の水分を吸着させる方式の衣類乾燥除湿機です。デシカント式では、広範囲に強力な風を送れるサーキュレーター付きが一番人気ですが、夏場に使うと部屋が暑くなるので、秋や冬に向いています。だいたい20000円ほどで購入できますね。
部屋干しの嫌な臭いの原因はカビだった!? 最新便利グッズ「銀イオンホース」でお手軽カビ対策
生乾きの臭い、部屋干しの嫌な臭いの主な原因は、洗濯時に付着した衣服のカビや雑菌です。その臭いに悩まされている方は「銀イオンホース」を使ってみましょう。オススメは、シャープのAg+イオンコート搭載銀イオンホース『AS-AG1』で、発売当初はあまり注目されなかったものの、口コミで去年の12月くらいから売れ始め、今年の1月に人気が爆発しました。
銀イオンホースは、給水ホースと洗濯機の間につなげて使うもので、このホースに水を通せば、銀イオンの効果がプラスされ、衣類にカビや菌が発生するのを抑えることができます。銀イオンは、制汗スプレーや温泉の衛生管理にも使用されており、皮膚に影響を及ぼすことが少ないのが特徴。繊維にも残りやすく、長時間にわたって抗菌効果を維持します。
ちなみに、この「銀イオンホース」から出た水をボトルに詰めて、消臭スプレーの代わりに使えるかどうか試してみたのですが、くつの臭いはちゃんと軽減されていましたね。
価格は10000円ほどで手に入り、年に1回の銀イオン電極カートリッジの交換が必要ですが、効果を考えると決して高い買い物ではないと思います。
新築時に浴室乾燥機を導入した方が良い? 家電ライターが語るメリット & デメリット
2021年現在、ガス式の浴室乾燥機は減少傾向にあり、ヒートポンプ式の浴室乾燥機がメインになってきています。「ヒートポンプ」は、熱を空気中から集めて熱エネルギーとして活用する省エネ技術のことで、パナソニック、リクシル、TOTO、CORONA、リンナイなど、多くのメーカーがヒートポンプ式の浴室乾燥機を取り扱っています。
浴室乾燥機を導入するメリットは、洗濯物の臭いを気にせず室内干しできること、浴室のカビ予防ができること、ヒートショック予防ができることです。デメリットは、備え付けなので後付けは難しいこと、約10年で交換しなければならないのでコストがかかること、月々の電気代が上がることです。
価格については、単独で導入するか、ほかの設備とセットで導入するかで変わるので、興味のある方はハウスメーカーに値段や保証期間などの詳細を確認してみましょう。
湿気・カビ・ダニ対策にオススメの家電 & 部屋干しテクニック まとめ
梅雨は、湿気で部屋がジメジメする嫌な時期です。うっかりカビやダニを繁殖させないためにも、「空気清浄機」や「ふとん乾燥機」などを上手に取り入れましょう。また、今では室内干しに適した最新家電やアイテムも数多く販売されています。それらを活用し、梅雨を乗り切るための一助としてくださいね。
梅雨の時期に気になるダニとカビの対策法は、こちらもチェック
シックハウス症候群の原因に? 健康を守るお掃除士が解説する「ダニとカビ」対策
雨の日の換気はどうすれば?一級建築士がお家の換気方法とメリットを解説
家電にまつわる意外と知らない情報
人気家電アドバイザーが徹底解説! 家電にまつわる都市伝説のウソ? ホント? 特集
一年中快適な温度を保つには
家電アドバイザーが教える! 「全館空調」のメリット・デメリット&コスト削減のコツ