一戸建ては狙われやすい?!防犯対策としての防犯カメラの選び方と設置条件とは?

警察庁「住まいる防犯110番」によると、2020年には4万4,093件の侵入窃盗が確認されており、第一位はそのうちの37.0%にあたる一戸建て住宅です。また、侵入窃盗の手口を見ると、約3分の1が空き巣によるものです。

侵入窃盗の発生場所別認知件数(2020年度)
侵入窃盗の発生場所別認知件数(2020年度)

一戸建てでこうした被害を回避するために家庭でできる対策として、戸締りに加えて「防犯カメラ」の設置が有効です。ただし、最大限の効果を発揮するためには防犯カメラの機能や設置場所を慎重に検討する必要があります。この記事では、防犯カメラを選ぶ基準や効果的な設置場所について解説します。

防犯カメラの選び方は? 押さえておきたい5つの基準

防犯カメラの選び方は?覚えておきたい5つの基準

防犯カメラには様々な形状や機能があり、どのような製品を選ぶかによって空き巣などの抑止効果が変わります。

防犯カメラの形状は用途に応じて選択

防犯カメラの形状は用途に応じて選択

左が「バレット型」、右が「ドーム型」の防犯カメラです。株式会社グラスフィアジャパン:「『Nシリーズ』AHD対応アナログフルハイビジョン(ワンケーブル)カメラ」の詳細はこちら

防犯カメラには、様々な形状があります。カメラを箱型のケース「ハウジング」に収めた「ボックス型(箱型)」はレンズが一方向なので広範囲を撮影できませんが、防犯カメラらしい見た目から犯罪抑止効果を期待できます。現在最も普及している「バレット型(ビューレット型)」はハウジング一体型で、同じく存在感のある外見が特徴です。一方、「ドーム型」は丸みを帯びた形状で周囲に溶け込みやすいタイプです。天井に設置し、広範囲を撮影する目的で設置することが多いでしょう。ドーム型の派生形と言える「PTZカメラ」のPTZはPanoramac(水平)・Tilt(垂直)・Zoom(ズーム)の頭文字で、レンズを上下左右に動かしたり、拡大・縮小をしたりすることができます。一般家庭では屋外よりも、屋内にいる子どもやペットなどの見守り用として、小型のPTZカメラを利用する方が増えています。

暗くなっても撮影できる「赤外線LED」を搭載

侵入窃盗の手口として最も多いのが「空き巣」ですが、次いで発生しているのが就寝中に侵入する「忍び込み」です。夜間の犯行を防止するためには、夜間も監視できる防犯カメラを選ぶことが大切です。赤外線を照射することで暗くても撮影ができる「赤外線LED」を搭載したカメラを選びましょう。

画質は200万画素以上が目安

防犯カメラの画像が不鮮明な場合、犯人の顔や服装、車のナンバーといった情報を確認できない可能性があります。犯罪の証拠をしっかりと残すために、有効画素数が200万画素以上の防犯カメラを選びましょう。

「IP66」が耐久性の指標に

屋外に設置する防犯カメラは豪雨や強風に晒されても壊れにくいなど、耐久性も重要です。IEC(国際電気標準会議)およびJIS(日本工業規格)が定める電気機器内への異物の侵入に対する保護等級(JIS C0920)のIP(Ingress Protection:侵入への保護)規格が耐久性の判断基準となります。IP〇〇と2つの数字が並びますが、左の数字が防塵性能で塵や埃に対する耐性、右の数字が防滴性能で水に対する耐性を表しています。数字が大きいほど耐性が高いことを意味し、「IP66」をクリアしていることがひとつの指標となります。

新築時に設置するなら「有線カメラ」の検討を

防犯カメラには「有線カメラ」と「無線カメラ」があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。無線カメラは配線工事がいらず、自身で設置できる気軽さがあります。一方、有線カメラは電波の受信状況に左右されず、安定して鮮明な画像を撮ることができます。カメラと録画装置をケーブルで配線する工事を行う手間がありますが、新築やリフォームのタイミングで防犯カメラの導入を考えているのであれば、有線カメラがおすすめです。

一戸建ての防犯カメラはどこに設置する?

どんなに優れた防犯カメラを導入しても、設置場所や向き次第で効果が薄れてしまいます。警視庁「令和2年版東京の犯罪」によると、侵入窃盗の発生場所はベランダなどを含む「窓」が最も多く55.4%、次いで「出入口」が44.3%です。そのため、門や玄関、裏口や勝手口、庭に面した掃き出し窓などが写るように防犯カメラを設置したいところです。状況に応じ、ベランダも網羅できるとより安心です。また、車上荒らしなどの被害対策として、駐車場や駐輪場がある場合は併せて防犯カメラを設置しましょう。高い塀や庭の植え込み、公道から見えにくい隣家との隙間などにも注意が必要です。

防犯カメラを設置する際のポイント

死角を作らない
防犯カメラは、設置するだけでも侵入者に対して多少の威嚇効果がありますが、空き巣の侵入など犯罪行為の瞬間を鮮明に撮影してこそ本領を発揮します。防犯カメラを設置する位置や向きを確認し、死角がある場合は複数台の防犯カメラを設置するなど、環境を整えましょう。

戸外での防犯カメラ設置は、周囲への配慮を忘れずに

防犯カメラの設置は周囲に配慮が必要

屋外に防犯カメラを設置する目的は、自宅の防犯です。近隣の住宅や通行人のプライバシーを侵害することのないよう、撮影範囲などに配慮しましょう。防犯カメラの性能や画角によっては、他の家の中が見えてしまうこともあるので注意が必要です。また「防犯カメラ作動中」などのステッカーを貼って防犯カメラの設置を明示することで、空き巣をはじめとする犯罪を抑止するだけでなく、隠し撮りを疑われるリスクも防ぐことができます。

まとめ

警視庁「防犯環境設計による防犯対策」によると、空き巣の侵入などを防止するためには、人感センサーライトの設置や、植木の剪定などにより周囲から敷地内を見通せる環境にすること、そして防犯カメラを設置することで監視性を確保できるとしています。これから一戸建てを建てる予定の方や現在一戸建てにお住まいの方は、ぜひ防犯対策の一環として防犯カメラの設置を検討してみてください。

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