DIYの工程のひとつに塗料を使ってペイントするという作業があります。しかし、どの塗料をどのように使えばおしゃれに仕上がるのか、いまいち分からないという方も多いのではないでしょうか。そこで、人気DIYブロガーで塗料メーカー「ターナー色彩」の公式アンバサダーでもある柳美菜子さんに、オススメ塗料やペイントテクニックについて伺いました。
DIYブロガー・ターナー色彩公式アンバサダー
「お金をかけずに楽しむ豊かな暮らしづくり」が信条のDIYブロガー。 100均グッズや廃材で作るプチプラ雑貨や、自己流のオリジナルペイントテクニックをブログやさまざまなメディア連載を通して紹介している。フェリシモのおうちレッスンプログラムブランド「ミニツク」では、不用品をペイントしておしゃれな雑貨をつくる「ペイントリメイクレッスンプログラム」の監修を務める。
著書:「柳美菜子さんのプチプラ雑貨ハンドメイド(主婦と生活社)」 「ちいさなブロカント雑貨のつくり方(BNN新社)「かんたんDIYでつくる おもてなしインテリア(扶桑社)」
ブログ「pink pinko life」
DIYブロガーの柳美菜子です。DIYやリメイクにおける“ペイント”の魅力は、塗るだけで元の姿が想像できなくなるほど見た目が大きく変わること。たとえば、単なる空き缶だと部屋に飾りにくいですが、ペイントすることでガラリと印象が変わり、一転して飾りたくなるものへと生まれ変わります。私はそのビフォーアフターのギャップがすごく好きなんです。塗るだけで素敵に変身するペイントリメイクの驚きと感動を、ぜひ多くの方に知っていただきたいです。まずは、ペイントに必要な準備から解説します。
ペイントを始める前に用意しておきたいものは?
塗料を塗る道具を用意する
・筆、刷毛
・コテ、パレットナイフ
・台所用スポンジ
ペイントするのに欠かせない「筆」や「刷毛」は、大きさが違うものを何種類か用意しておくと良いですね。「コテ」と「パレットナイフ」は、モルタルや漆喰のような盛り上がったテクスチャを作り出すことができるので、ペイントに慣れてきたらぜひ挑戦してもらいたいツールです。「台所用スポンジ」は細かくカットしたものをストックしておくと便利で、染みや錆といったエイジングペイントをする際にとても重宝します。また、筆や刷毛で塗ったときに筆跡が残ってしまっても、塗料の上からスポンジでポンポンと軽く叩くことで、簡単に筆跡を消すこともできますよ。
汚れてもいい服や使い捨てできるアイテムを揃える
・作業用エプロン
・汚れてもいい服
・ビニール手袋
・ゴミ袋(新聞や敷物)
ペイントを始めるときは「汚れてもいい服」や100円ショップで売られているような「作業用エプロン」を用意しておきましょう。手に塗料が付くのが嫌な人は使い捨てできる「ビニール手袋」も忘れずに。テーブルで作業する方は、塗料こぼれ防止のために新聞や敷物をご用意下さい。私の場合は45リットルの「ゴミ袋」をテーブルに敷いて養生しています。なかには、専用の作業台や“つなぎ”のような作業服が必要なのでは? と思われる方もいるかもしれませんが、身近にあるもので十分に代用可能です。
塗料を入れる容器は使い捨てできるものがオススメ
・豆腐などの空きカップ
・プラスチックスプーン
・アルミカップ
塗料を移し替える容器も専用のものは必要ありません。混色したいときや濃度を変えたいときには「豆腐などの空きカップ」、塗料を少量だけ使いたいときはお弁当に使うような「アルミカップ」で代用可能です。また、塗料を取り出すときにボトルを傾けると容器や蓋の縁が汚れやすいので、「プラスチックスプーン」で容器に移しましょう。これらのものは使い捨てできるので、後片付けがとても楽になりますよ。
お家の中でペイントするなら「ターナー色彩」の塗料が人気
室内でペイントする場合、ターナー色彩の塗料がオススメです。塗料特有の嫌なにおいが一切しないので、作業中にマスクなどで鼻や口を防護する必要がありません。また、肌に付いても水で簡単に洗い流すことができるので安心ですし、自然な素材を使用しているので、安全面が考慮されているのも嬉しいポイント。ホームセンター、画材屋、ネットショップなどで手に入るので、ぜひ探してみてくださいね。
これからご紹介する塗料は、すべてターナー色彩製の水性塗料です。油性塗料は、筆を洗う専用の洗浄剤が必要だったり、においが気になったりと少し扱いづらいところがあるので、初めての方には水性のものをオススメしています。
オススメ塗料①天然由来の水性塗料で扱いやすい「ミルクペイント」
森永乳業のミルクを原料とした天然の水性塗料で、お子様でも安全に使うことができます。クリーミーで伸びが良いので初心者でも塗りやすく、仕上がりはマットな印象になるのが特徴。完全に乾けば耐水性になるのも扱いやすいポイントですね。ミルクペイントはかわいいパステルカラーを中心としたラインナップで、色の種類も豊富。そのなかでもピスタチオグリーンは絶妙な色加減で、私の一番のお気に入りです。サイズは200ml、450ml、1.2Lと、お試しにはちょうど良い70mlのミルクペイントミニがあります。
ミルクペイントシリーズは「ノーマル」の他に屋外用の「forガーデン」、内壁用の「forウォール」があります。混色することもできますが、それぞれの含有成分が違うため、混ぜるとその効果が薄れてしまいます。なので混色する場合は、パッケージが同じ色のものを使うようにしましょう。
下塗りには「マルチプライマー」を活用
ミルクペイントは木材以外の素材にもペイントできますが、金属のアルミ缶やプラスチックのペットボトルなど塗料がのりにくい素材にペイントする際は、マルチプライマーを活用するのがオススメです。マルチプライマーで下塗りすることで塗料の密着性が向上し、塗装剥げが軽減しますよ。
「ミルクペイント」のDIY作例①
ミルクペイントでベースカラーを塗り、水で薄めた白色のミルクペイントで汚し加工を施しました。ぼやけた風合いを表現する裏技ペイント術です。
「ミルクペイント」のDIY作例②
ミルクペイントのカラーラインナップはパステル系が多いので、ナチュラルテイストの小物作りにもぴったり。紙皿をペイントしてボタニカルイラストを加えれば、海外のおしゃれな絵皿のようになります。
オススメ塗料②ガラスの素材感を残したまま着色できる「ガラスペイント」
ガラスペイントは、ガラスの透き通った素材感を活かしながら着色できる塗料で、9色のカラーバリエーションと曇りガラス風を再現できる(曇り)や気泡を表現できる(泡玉)などが販売されています。色のついたカラーガラス、すりガラスのようなフロストガラス、アンティークな琥珀色のアンバーガラスなど、透明な素材をペイントすることができるので、ガラス雑貨が好きな方にはぜひお試しいただきたい塗料と言えます。素材への密着度が高いので、素材に直接ペイントするだけでOKです。
筆で軽く塗ってから、スポンジで優しく叩いて素材に馴染ませます。水に浸すと塗膜が剥がれてしまうので、水濡れには注意しましょう。
「ガラスペイント(曇り)」のDIY作例
暑い季節にピッタリな「フロストガラス風ペイント」です。
素材は塩ビ板で、塗料はミルクペイントのクリームバニラとガラスペイント(曇り)を使用します。
まずは塩ビ板にガラスペイント(曇り)を塗って乾かします。
その上に水で薄めたミルクペイントのクリームバニラをまだらに塗り重ねます。
ミルクペイントが乾かないうちにティッシュで押さえ、残った水分を拭き取ります。塗料が完全に乾いたら、好きな形に切り取り、紐でつなげましょう、フロストガラスのような素材感が涼やかな「カピス貝風ガーランド」の完成です。
オススメ塗料③アンティーク風の汚し加工にも最適な「オールドウッドワックスウォーターベースコート」
木の質感を残したまま着色できる浸透性塗料です。古材風、ヴィンテージ風、北欧風など、塗料の色や塗り方によって木材の雰囲気を簡単に変えることができます。水性塗料なので、水で薄めて色の濃さを調節することも可能。同シリーズなら混色もOKです。
主に“木目”を活かしたペイントに使われるステイン塗料ですが、応用すれば布や紙も染めることができます。ただし、紙に使う場合はかなり濃く染み込んでしまうので、希釈濃度には十分注意しましょう。カラーは全15色で、私はチークとエボニー、それからウォルナットの3色をよく使用しています。
「オールドウッドワックスウォーターベースコート」のDIY作例①
100均で売られている布製の造花にオールドウッドワックスウォーターベースコート(チーク)を染みこませると、まるで本物のドライフラワーのように仕上がります。染色した花びらをガラスビンに入れればおしゃれなディスプレイ雑貨に。
「オールドウッドワックスウォーターベースコート」のDIY作例②
パステルカラーの上にステイン塗料で茶染みを加えることで、全体の色味をトーンダウン。アンティークな雰囲気たっぷりのディスプレイカップです。
素材として、好きなかたちの白い紙カップを用意します。
まずはミルクペイントなどで全面を好きな色で塗りましょう。
塗料が完全に乾いたら、オールドウッドワックスウォーターベースコート(チーク)を筆でまだらに塗ります。
塗料が乾かないうちに、ティッシュで押さえるようにして余分な水分を拭き取れば完成です。
オススメ塗料④アンティークな金属の質感を表現できる「アイアンペイント」&「ラストメディウム」
重厚感がある金属の質感「アイアンペイント」
アイアンペイントは鉄や金属のような質感が表現できる水性塗料です。青銅風や銅板風など、重厚感のある無骨な風合いを出したいときに使用すると良いでしょう。カラーは全8色で、オススメはブロンズグリーンとアンティークシルバーです。
アイアンペイントはドロリと粘りがある塗料なので、スポンジに付け、叩いて押さえるように着色します。もちろん単体でも使用できますが、次にご紹介する「ラストメディウム」とセットで使うのが特にオススメです。
金属感や錆の表現が◎「ラストメディウム」
ラストメディウムは、レッドブラウンとダークブラウンがセットになった商品で、金属の“錆”の質感を表現したり、ジャンキッシュな雰囲気を出したりするときに使います。塗装前後のビフォーアフターがとても分かりやすいので、私のワークショップでも一番人気ですね。アンティーク風ペイントは失敗したところが良い味わいになるので、初心者の方も気負わずにぜひチャレンジしてみて下さい。
ラストメディウムは金属の“錆”を表現するために使うことが多く、こちらもスポンジでペイントします。スポンジに2色を半々に取り、色が混ざらないようにしてランダムに塗るのがポイント。色を塗り、乾かし、次の色を重ね……の繰り返しが、深みのあるテクスチャを作り出します。ペイントはその都度塗料を乾かしてから行いましょう。ドライヤーを使えば乾燥時間を短縮できますよ。
「アイアンペイント」「ラストメディウム」のDIY作例①
市販の計量カップにアイアンペイントでベースを塗り、ラストメディウムを付けたスポンジで軽く叩いて仕上げました。想像以上に簡単にアイアン錆を表現することができるので、ぜひ試してみてください。
「アイアンペイント」「ラストメディウム」のDIY作例②
空き缶も、ペイントリメイクでブロカント感漂うグリーンポットに大変身。
素材として、カップ型の入れ物を用意します。
まずはラストメディウム2色をスポンジに取り、叩くようにして全面に塗ります。
ベースが乾いたら、次にアイアンペイント(アンティークシルバー)をスポンジで叩くようにして重ね塗りします。このとき、下地を塗りつぶしてしまわないように注意。
最後にラストメディウム(レッドブラウン)をスポンジに少量とり、所々アクセントとして加えたら完成です。
ペイントリメイクしたDIY作品の注意点
ペイントを施したお皿やカップは、食事には使用できません。また、塗料の密着が弱い素材は水に浸したり爪で擦ったりすると、塗料が剥がれやすくなってしまいます。塗装剥げが心配な作品は、ディスプレイ専用のインテリアとして使用するようにしましょう。
人気DIYブロガーオススメの塗料と塗り方のコツ まとめ
私はDIYやリメイクにおいて、ペイントは一番重要な工程だと思っています。塗装する前と後では印象がガラリと変わりますし、そのギャップにはいつも感動すら覚えます。今回ご紹介した塗料はペイント初心者さんでも使いやすいものばかりなので、気になるものがあればぜひ試してみてくださいね。
夏休みにお子様と一緒にDIYするなら……
夏休み工作や自由研究にピッタリ!人気DIYブロガーが教えるタブレットスタンドの作り方
これからDIYをはじめる方へオススメ
DIY初心者にオススメ!人気DIYブロガー愛用の安くて使いやすい道具と材料7選
DIYのリメイク術はこちらもチェック!
身近な不用品が小物&インテリアに大変身! 人気DIYブロガーのリメイクアイデア集