近年、お家で楽しめる趣味として流行しているDIY。自宅で過ごす時間が増えた2020年からチャレンジする方はさらに増えていますが、やってみたいけど何から用意すれば良いのかわからない……という方もいらっしゃるのではないでしょうか? そこで、「かんたんDIYでつくるおもてなしインテリア」などの著者であり、人気DIYブロガーとしても知られる柳美菜子さんに、DIY初心者にオススメな道具と材料、そして、それらの使い方や注意点について伺いました。
DIYブロガー・ターナー色彩公式アンバサダー
「お金をかけずに楽しむ豊かな暮らしづくり」が信条のDIYブロガー。 100均グッズや廃材で作るプチプラ雑貨や、自己流のオリジナルペイントテクニックをブログやさまざまなメディア連載を通して紹介している。フェリシモのおうちレッスンプログラムブランド「ミニツク」では、不用品をペイントしておしゃれな雑貨をつくる「ペイントリメイクレッスンプログラム」の監修を務める。
著書:「柳美菜子さんのプチプラ雑貨ハンドメイド(主婦と生活社)」 「ちいさなブロカント雑貨のつくり方(BNN新社)「かんたんDIYでつくる おもてなしインテリア(扶桑社)」
ブログ「pink pinko life」
DIYブロガーの柳美菜子です。「お金をかけずに楽しむ豊かな暮らしづくり」を信条に、主にインテリア雑貨の製作をしながら、ワークショップやWEB媒体などで、DIYのハウトゥーやテクニックをご紹介しています。今回はDIYをこれから始められる方に向けて、その楽しみ方と注意点、最初に揃えたい道具などを解説したいと思います。
DIYと日曜大工の違いは? これから始める方に知ってほしい楽しみ方のコツと注意点
DIYは、もともと「お家の修繕を自分でやる」「犬小屋や家具を手作りする」といった、いわゆる“日曜大工”と同じような意味で使われていた言葉です。しかし、現在では“100均DIY”というジャンルもあるほど、その定義は広がっていて、ハンドメイドに近い意味になってきていますね。私の場合ディスプレイ用のインテリア雑貨を中心に製作していますが、そういった小さなDIYは力作業の苦手な女性でも気軽に挑戦できると思います。
私がDIYを始めたのは15年ほど前。当時、欲しいけれど高価で買えないインテリアがあり、諦めきれずにいたところ、夫から「作ったら良いんじゃない?」と言われたことがきっかけでした。手探りしながらですが、かなり実物に近いものができて、その達成感と満足感からDIYの魅力に引き込まれ、今に至ります。
DIYを始めるにあたって、まずは使う道具や塗料の特徴を知っておくことが大切です。それぞれの基本的な使い方を理解して、自分なりの“DIYの基礎”を築いておくと、そこからどんどん技術を応用できるようになりますよ。雑貨や小物などの場合、設計図はとくに必要ありませんが、完成品のイメージは持っていたほうが良いでしょう。また、最初は「失敗しても良い」と思うことも大切です。お家の不用品や100円ショップで買えるものなら失敗覚悟で使えますし、「失敗は誰にでもある」と思ってチャレンジしてほしいですね。
DIYをするときの服装は? 作業台は必要?
私がDIYをするときは、ペイント作業時に汚れても良い服装で行うくらいで、特別な作業着は用意していません。作業場所も基本的にはダイニングの床や食卓のテーブルで、作業台があるような専門的な環境ではありません。強いて言うなら、ペイント作業用にビニールのゴミ袋を敷いて養生するくらいです。DIYは一戸建てのお家でしかできないというイメージがあるかもしれませんが、雑貨作りのようなちょっとしたDIYならマンションの一室でも充分可能なのです。
このように、DIYっていざ始めてみると、意外とハードルが低いんですね。これからご紹介する道具でもさまざまなものが作れますので、まずは気負わずに、楽しい気持ちでDIYを始めてみてはいかがでしょうか?
DIY初心者にオススメの道具①糸ノコ
木材のカットに欠かせないのが糸ノコです。「木材を切る」となると大きなノコギリをイメージする方が多いかもしれませんが、刃が細くて小回りのきく糸ノコは細かい作業にピッタリ。電動のものも便利ですが、これからDIYを始める方には、価格が500円程度と手頃な手動タイプがオススメです。
使用する際の注意点ですが、カットした木材の断面がガタガタだと木材同士の接着が難しくなるので、できるだけまっすぐにカットしましょう。まっすぐに切るコツは、カットしたい部分の両側面に溝を入れ、ガイドラインをつくっておくこと。また、断面をよりなめらかにしたい場合は、別途、紙やすりを用意します。紙やすりは角材などに巻きつけて使うと力が入りやすくなり、断面をキレイに整えられますよ。
断面を斜め45度にカットする際は、「直角二等辺三角形」の定理を使いましょう。カットしたい部分に直角二等辺三角形を書き入れることで、簡単に45度の角度を作ることができます。木材をフレームのような組み方にしたいときに便利なテクニックです。
糸ノコを使ったDIY作例①カードスタンド
100円ショップの木製のウォールフックをリメイクしたカードスタンド。糸ノコでフックの真ん中に筋を入れて、オールドブラウンにペイントしました。
糸ノコを使ったDIY作例②インテリアフレーム
モールディング材を斜め45度にカットし、水性ステインでペイント。四角いフレーム形状に接着すれば、おしゃれなインテリアフレームの完成です。
DIY初心者にオススメの道具②大型カッター
素材のカットには大型カッターも重宝します。普通のカッターよりも刃幅が広く丈夫で、持ち手が大きくて握りやすいので、DIY向きのアイテムと言えます。私が使っているのはホームセンターなどで買えるオルファ製のもので、300〜500円程度とお手頃価格。分厚い紙類はもちろん、柔らかい木材や2〜3mmほどの厚さのベニヤ板、プラスチックの下敷きのような塩ビ板などもカットできます。とくに100円ショップにある木材は、桐などの柔らかい素材からできているものが多く、カッターでも切りやすいですね。刃の長さは2段階くらい出しておくのが使いやすいと思います。
また、カッターと言えば「切る」というイメージだと思いますが、刃の背にあたる部分を使って木材に溝や筋を作ることもできます。糸ノコなどでカットするためのガイドライン入れや木材にちょっとした模様を入れるときにも活用してみてください。ちなみに、このテクニックは紙にも応用できます。刃の背で筋を入れてから折ると、まるで機械で処理したようなキレイな折り目になりますよ。
DIY初心者にオススメの道具③スチール製の定規
カッターなどで素材をまっすぐにカットしたいとき、欠かせないのがスチール製の定規です。ホームセンターへ行くといろいろなサイズがありますが、価格は500円程度なので、作りたいもののサイズに合わせて買い揃えていくと良いですね。プラスチック製や木製の定規は刃物と一緒に使うと削れてしまうため、カット作業用には必ずスチール製を選びましょう。
大型カッターとスチール定規を使ったDIY作例①ヴィンテージな三角定規
100円ショップで売っているベニヤ板を分割して作った三角定規です。ベニヤ板を三角形にカットしてペイントするだけで、古道具感溢れるディスプレイ定規に。
大型カッターとスチール定規を使ったDIY作例②小物入れ
厚手の紙箱をリメイクした小物入れ。カッターと定規を使って蓋の中央を切り抜き、裏面に透明の下敷きを貼りました。透明蓋にリメイクすることで、高級感溢れるショーケースのような仕上がりに。
DIY初心者にオススメの道具④ボンド木工用プレミアム
黄色いパッケージの木工用ボンドに見覚えがある方は多いかもしれませんが、私がオススメするのは、コニシ株式会社の「ボンド木工用プレミアム」※です。スタンダードなタイプとの違いは、ノズルの細さ。接合面積の小さなパーツでもボンドがはみ出ることなく使用できて便利ですよ。さらに、乾くまでの時間が短いところもうれしいポイント。仮接着なら15分、完全に乾くまででも30分程度なので、効率良く作業が進められます。
※木工用ボンドはどれもパッケージこそ似ていますが、メーカーに違いがあります。
・ボンド木工用プレミアム(コニシ株式会社)
・木工用ボンド(セメダイン株式会社)
このボンドはノズルが幅2mm程度ととても細いので、素材の接着面にノズルをつけ、線を引くようにして使います。また、木工用ボンドは紙や布にも使えますが、金属やプラスチックだと上手に接着できないので注意しましょう。接着材は木工用、金属用など素材別に種類があり、それぞれ300円程度で購入できるので、用途別に揃えておくのもオススメです。
ボンド木工用プレミアムを使ったDIY作例①フラワーベース
2個の紙コップをボンドで接着し、アンティーク風にペイントして作ったミニフラワーベースです。木工用プレミアムなら紙コップの細いフチにも線を書くようにして塗ることができます。
ボンド木工用プレミアムを使ったDIY作例②フラッグガーランド
着なくなった服の端切れを三角形にカットし、麻紐に木工用プレミアムで貼り繋げたフラッグガーランド。子供部屋にもぴったりなおしゃれで可愛い簡単リメイクです。
DIY初心者にオススメの道具⑤マスキングテープ
簡単に貼ったり剥がしたりできるマスキングテープは、素材をペイントするときの養生や筒状のものをカットするときの目安ラインに活用できるすぐれものです。
使用する際は、塗料がはみ出さないようテープをしっかりと貼り付けることが大切です。また、色を重ねるときは、先に塗った塗料が乾いてからマスキングテープを貼り、次の色を塗るようにしましょう。
また、マスキングテープは塗装の養生だけでなく、筒状の素材をカットするときにも役立ちます。トイレットペーパーの芯やペットボトル、アルミ缶といった筒状の素材は、ペンでまっすぐカットラインを書き込むのが難しいのですが、マスキングテープなら側面に一周させるだけでまっすぐなラインを作れますよ。
マスキングテープを使ったDIY作例①幾何学模様ペイント
マスキングテープを使った塗り分けで、木材を幾何学模様にペイントしてみました。テープの貼り方を変えるだけで、さまざまなデザインが作れるので楽しいですよ。
マスキングテープを使ったDIY作例②アンティークカップ風インテリア
蓋付きタイプのアルミ缶をテープに沿ってカットして分割。切り分けたパーツを組み合わせ、アンティーク風にペイントしたゴブレット風カップです。口の部分は下半分をカットした紙コップをはめ込むことでデザインを一工夫。さらに切り口も保護されて、安全な仕上がりになります。
DIY初心者にオススメの道具⑥電動ドライバー&ミニビス
電動ドライバーと聞くと、「使うのが怖い」「敷居が高い」と感じる方が多いのではないでしょうか? 私もDIYを始めてから10年くらいは、恐怖心から手を出せずにいましたが、勇気を出して使い始めてからはDIYに欠かせない道具となっています。使い始める前とは比べものにならないくらい作業効率がアップし、創作の幅もグンと広がりましたね。また、実際に使ってみると金づちで釘を打ち込む作業よりも安全にすら感じます。作業音に関しても、早朝や真夜中といった時間帯を避ければ、防音ではないマンションなどでも使えるはずです。
ホームセンターに行くとさまざまなタイプの電動ドライバーが揃っているので、最初は1000円くらいの手頃なものから始めてみるのが良いと思います。コードレスタイプは重いものがほとんどなので、まずはコード付きの軽いタイプで慣れることをオススメしたいですね。私も最初は1000円くらいのコード付き電動ドライバーから使い始めましたが、それでも十分に作業が捗りました。
木材同士を接合するときは、釘よりも木ネジが良いですね。木ネジは螺旋状に溝があるので、木材をより強く接合できます。雑貨や小さなインテリアのDIYには、木ネジのなかでもとくに小さなミニビスがオススメ。軸がプッシュピンくらいの細さなので、厚さ7mmの薄い木板でも割らずに打ち込めますし、ネジ頭が小さいので目立たせず仕上げることができます。いろいろな長さのものがあるので、長さ別に分けて保管しておくと便利ですよ。
ビスを打ち込む際は、打ち込みたい部分にキリなどで穴を開けておきましょう。これはキレイに打ち込むためだけでなく、板割れ防止にもつながります。また、ビスはある程度打ち込むまでは、しっかりと手で押さえておきます。
慣れてしまえば簡単に使える電動ドライバーですが、慣れるまでは練習が必要です。使い始めは失敗ありきで、100円ショップの木板などを使って試してみましょう。しかし、ただ木板にビスを打ち込むだけでは味気ないと思うので、簡単なボックスやラックを作ってみるのがオススメです。何かが完成するとうれしくなって、次の作品を作ってみようというモチベーションにもつながりますよ。
素材は100円ショップセリアの木板シリーズがオススメです。長さが45cmで統一されており、板幅は1.2~15cmとバリエーション豊か。箱状にしたりラックをつくったりと、組み合わせるだけでいろいろ楽しめますよ。
電動ドライバー&ミニビス使ったDIY作例①ウッドラック
セリアの木板(板幅12cmと3.8cm)を組み合わせて作ったウッドラック。シンプルな形状なのでどんなインテリアテイストにもしっくりと馴染み、リビングやキッチンにと置き場も選びません。
電動ドライバー&ミニビス使ったDIY作例②ウォールラック
セリアの木板(板幅3.8cmと2.5cm)、同じくセリアの金属アイテムを組み合わせて作ったクリップ付きウォールラックです。電動ドライバーがあれば木材と金属アイテムのネジ固定もらくらくです。
DIY初心者にオススメの材料「工作棒」&「モールディング材」
立体的なものを作ったり、アイテムの装飾に使ったりと幅広く使えるのが木製の工作棒とモールディング材です。分厚いものをカットするには糸ノコが必要となってきますが、厚みが薄いものはカッターで切れるので、DIY初心者の方でも気軽に使えますよ。ホームセンターなどで購入でき、価格も1本80円~とリーズナブル。
加工のしやすさだけでなく、手軽におしゃれなデザインを作り出せるのもオススメポイントです。断面が三角形や半円形など形状のバリエーションが豊富なので、創作物のイメージに合わせて使ってみてください。
モールディング材を使ったDIY作例①ウォールフック
セリアの木板にモールディング材を接着してボードを作成。100円ショップのフックを取り付けて作ったウォールフックです。モールディング材を付け加えることでフランス家具のようなクラシカルな雰囲気に仕上がります。
DIY初心者にオススメ!安くて使いやすい道具と材料7選 まとめ
今回ご紹介した道具や材料はどれも手軽に揃えられて、これからDIYを始める方でも扱いやすいものばかりです。「こんなものを作りたい」といったイメージを形にできるのがDIY。小さなDIYなら広いスペースのないお家やマンションでも無理せず始められるので、気軽に楽しんでほしいですね。DIYを続けるには、何よりも“楽しい”という気持ちが大切です。
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