建築士がローコスト住宅・規格(企画)住宅の疑問を解説! 後悔のない家選びとは?

ローコスト住宅や規格(企画)住宅に対して、「寿命が短そう」、「維持費にお金がかかりそう」などのマイナスイメージを抱えている方は、少なくないかと思います。では、実際のところ、本当にそうなのでしょうか?
一級建築士の佐川旭さんにローコスト住宅・規格(企画)住宅に対するさまざまな疑問を投げかけてみました。

お話を伺った佐川旭人さん プロフィール

佐川旭さん
佐川旭さん

(株)佐川旭建築研究所 代表取締役・一級建築士
1976年日本大学工学部建築学科卒業。用と美を兼ね備えた作品を得意としており、時を超える力を備えたデザインを基本に据え、「つたえる」「つなぐ」をテーマとして個人住宅、公共建築、街づくりなどの設計を手掛けている。2010年岩手県星山小学校で「うるおいのある教育施設賞」(文科省)を受賞。
講演の他、雑誌等の執筆活動をする傍ら、テレビにも出演。著書はこれまで15冊で、中国・台湾・韓国でも出版されている。  

一級建築士の佐川旭です。以前の記事では注文住宅・ローコスト住宅・規格(企画)住宅について、それぞれのメリットとデメリットをご紹介しました。今回はそのなかから、ローコスト住宅と規格(企画)住宅に関する、よくある疑問にお答えしていきます。各住宅の知識を深め、後悔のない家選びをしましょう。

注文住宅・ローコスト住宅・規格(企画)住宅のメリット・デメリットはこちら

Q.ローコスト住宅や規格(企画)住宅は寿命が短いってホント? 買ったらあとで後悔しない?

費用を抑えて建てられたローコスト住宅や規格(企画)住宅は“寿命が短い”と誤解されている方も多いですが、注文住宅と比べても、特段短いわけではございません。なぜなら、お家を支えるうえでもっとも重要な骨組みは、どのようなお家でも40年から50年は持つと言われているからです。ローコスト住宅や規格(企画)住宅も、しっかりと建築基準法を満たして建てられますので、過剰に心配する必要はないでしょう。

Q.ローコスト住宅や規格(企画)住宅は維持費が高い?

ローコスト住宅は低価格な材料や設備を用いることによって、規格(企画)住宅は材料や設備を一括して仕入れることによって、施工費用の削減を行っています。なので、ローコスト住宅の場合は、コストカットを行った部分の経年劣化が高価な材料を使用した部分よりも早く生じてしまうことは否めません。その分だけ、維持費が高いと言えるでしょう。

また、これはどちらの住宅にも言えることですが、窓の四辺すべてを窓枠で囲まず、下側だけに窓枠をつける「三方クロス巻き込み仕上げ」というコストカットの方法が普及しています。この方法は施工費用を削減できますが、直接、窓枠を石膏ボードに埋め込んでいるので、壁紙が剥がれやすくなるというデメリットがあります。

さらにキッチンや浴槽、トイレなどの水回り設備にも注意が必要です。一般的に水回り設備の寿命は10年から12年と言われています。お家の骨組みと比べても、水周りの寿命はただでさえ短いので、住宅購入時に安価な設備を導入されている場合は、セルフメンテナンスをより注意して行うようにしましょう。

Q.ローコスト住宅や規格(企画)住宅を購入する際に必ず追加した方が良いオプションはある?

オプションに関しては、絶対に取り入れた方が良い設備や仕様はありません。新居での新しい生活をイメージして、どの点にこだわったお家にしたいのかをご家庭内で相談し、追加するオプションを決めるようにしてください。

フローリングの床材へのこだわり

一例として、料理好きな奥様や旦那様がいるのならば、オプションでキッチンの仕様を変更するのも良いでしょう。住宅購入時に標準装備されているキッチンをあとからグレードアップさせる場合、リフォームが必要になるので、どうしても費用がかさんでしまいます。

オプションでキッチンの仕様を変更するのも良い

また、フローリングの床材にこだわりたいのであれば、自然素材の床材へと変更しましょう。自然素材の床材は時間が経つにつれて、色合いが変化する経年美を楽しむことができますし、部屋の湿度を調整してくれる調湿機能にも優れています。さらに標準仕様として用いられることが多い合板のフローリングと比べても、「熱伝導率」という空気中の熱の伝わりやすさを示す数値が低いので、寒い季節でも足が冷えにくくなります。

Q.ローコスト住宅や規格(企画)住宅を購入した後の悩みは誰に相談すれば良い?

住宅を購入した後で、設備や建材などに不具合を感じた場合、まずは購入時に担当してくれたハウスメーカーの営業マンに相談してみましょう。これらの住宅はハウスメーカーの「商品」として扱われているので、営業マンはその住宅に対して一定の知識を持ち、適切な対応をしてくれます。なので、購入後も継続的にコミュニケーションを取り、何かあったときに相談できる関係を築いておくのがオススメです。

Q.ローコスト住宅や規格(企画)住宅を買ったあとの注意点は?

ローコスト住宅や規格(企画)住宅を買ったあとの注意点

新築一戸建て住宅を購入した後は、しっかりとした修繕計画を立てておくようにしましょう。分譲マンションを購入した場合は、積み立ての修繕金を毎月支払うことになるので、いざというときにそこから費用を捻出することができます。しかし、新築一戸建て住宅の場合、そうはいきません。万が一に備えて、ご家庭内で修繕費用の積み立てを行うようにしてください。

修繕計画を立てる際は、お子様のライフステージの変化を見越して、支払い管理を行うことが大切です。例えば、高校や大学への入学が決まった時期に、外壁や屋根の工事がピンポイントで重なると、家計への大きな負担につながるケースがあります。ご家庭によって、積立てられる金額は変わってくると思いますが、最低でも月に1万円程度は、修繕費としてたくわえておくことをオススメします。

ローコスト住宅・規格(企画)住宅の疑問 まとめ

ローコスト住宅や規格(企画)住宅はリーズナブルな価格で購入できますが、注文住宅と比べて欠陥が多いというわけではありません。しかし、どんなお家であっても、購入したあとのメンテナンスはしっかり行うことが重要です。家は買った後から本当の付き合いが始まると言われています。特に、屋根や外壁などの負担のかかりやすい場所は、3年に1回程度のペースでアフターメンテナンスを行いましょう。

新築一戸建て注文住宅購入者へのインタビュー記事はこちら

新築一戸建て注文住宅購入者のインタビュー記事
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