注文住宅・ローコスト住宅を検討中の方は必見! プロが教える間取りづくりの極意

一生に一度の買い物と言われるマイホームですから、間取りづくりは慎重に行いたいものです。では、お家のプロはどのようなことを意識して、間取りを設計しているのでしょう?一級建築士で「間取り博士」とも呼ばれる佐川旭さんにお話を伺いました。新築一戸建て住宅を検討されている方だけでなく、引っ越し先を探している方にも役立つ内容となっています!

お話を伺った佐川旭人さん プロフィール

佐川旭さん
佐川旭さん

(株)佐川旭建築研究所 代表取締役・一級建築士
1976年日本大学工学部建築学科卒業。用と美を兼ね備えた作品を得意としており、時を超える力を備えたデザインを基本に据え、「つたえる」「つなぐ」をテーマとして個人住宅、公共建築、街づくりなどの設計を手掛けている。2010年岩手県星山小学校で「うるおいのある教育施設賞」(文科省)を受賞。
講演の他、雑誌等の執筆活動をする傍ら、テレビにも出演。著書はこれまで15冊で、中国・台湾・韓国でも出版されている。  

一級建築士の佐川旭です。間取りを決める際に大切なことは、今あるライフスタイルに着目することと、この先に起こるであろう変化を見越すことです。今回はその観点を元に、さまざまな変化やこだわりを想定した間取りづくりの極意を紹介していきます。

お子様がいるご家庭にオススメの間取りとは?

開放的な空間の間取り図
開放的な空間の間取り図

小学生くらいまでの小さなお子様がいる場合やご出産の予定がある方は、ご家族同士が顔を見合わせやすい間取りづくりを心掛けましょう。お家のなかにおける親子間のコミュニケーションは、感性の発達や成長に大きく結びつくと言われています。開放的な空間や生活動線を意識して、どんな些細なことでも話しやすい環境を整備してあげましょう。

「対面式キッチン」(オープンキッチン)

例えば、キッチンは壁側を向いて調理を行う「壁付けキッチン」よりも、ダイニング側を向くことができる「対面式キッチン」(オープンキッチン)を選んだ方がコミュニケーションを取りやすくなります。リビングやダイニングにいるご家族の様子を確認しながら調理を行うことができるので、自然と会話も増えることでしょう。 ダイニングには食事を取るテーブルとは別に、宿題や調べものができるような作業用のテーブルを設置するのも良いですよ。お子様が小学生くらいであれば、親御様の見ている環境で勉強したほうが、見守られているという安心感の中で集中できるでしょう。

また、お子様が中学校や高校に入学されて、自室に居る時間が長くなった場合、どうしてもコミュニケーションが希薄となってしまいます。反抗期の訪れはさておき、せめて顔を見合わす機会が増えるよう、生活動線を工夫した間取りを意識しましょう。子ども部屋が2階にある間取りならば、階段をリビングやダイニングに設置するだけで、自然と顔を見合わす機会が増えます。1階の場合でも、生活の中心となっているスペースを生活動線にすることで、対応できるかと思います。

リフォームしやすいのは「階段が中央に配置されていない」間取り

「階段が中央に配置されていない」間取り図
「階段が中央に配置されていない」間取り図

新築一戸建て住宅の購入を検討されている場合、将来的にリフォームを行うことを想定している方もいらっしゃると思います。その際は「階段が中央に配置されていない」間取りをつくるようにしてください。階段が中央にあるお家は、階段を境に2階の間取りが分断されてしまうので、部屋が“孤立”してしまうというデメリットがあります。

どういうことかと言うと、例えば、子ども部屋として使用されていた2つの部屋をつなげて、セカンドリビングにしようとした場合、階段の位置を変更しなければなりません。そのため、リフォーム費用が高額になってしまいますし、工期も長くなります。階段の位置は間取り全体を決めるうえで重要なポイントなので、住宅購入を検討されている段階から、今後のライフスタイルにどのような変化があるのかを考えておくようにしましょう。

洗濯が楽になる間取りとは?

「サンルーム」のある間取り図
「サンルーム」のある間取り図

洗濯を楽に済ませたいという方は、日当たりの良い場所に「サンルーム」を設置してみてはいかがでしょう。サンルームとは、ガラス張りの屋根や壁に囲まれた部屋のことで、日光を取り入れやすいため、洗濯が捗ります。雨の日でも洗濯物を干すことができるという点もサンルームの魅力の一つですね。

サンルーム

また、2階のベランダで洗濯物を干すことを想定しているのであれば、施工時に廊下の“幅”を広めに取っておくことを勧めています。雨の日にベランダで干すことができない場合に備えて、物干し場として活用できるようにするためです。 ご夫婦だけで暮らすのであれば、洗濯を意識した間取りはそこまで重要ではありません。しかし、ご出産やお子様の成長など、ライフスタイルの変化を考慮するのであれば、新築時にこれらの間取りを検討しておくと良いでしょう。

広いリビングでペットと一緒に暮らしやすい間取りを実現!

広いリビングの間取り図
広いリビングの間取り図

愛犬家や愛猫家の方はペットとの暮らしやすさを意識して、お家の間取りづくりをされるかと思います。その場合、リビングを広めにして、「ドッグスペース」や「キャットタワー」を設置できるスペースを用意するのも一案です。玄関や室内の階段も、蹴上15cm踏面30cmを目安につくってあげれば、ペットにとっても歩きやすい住まいになります。

クッション性がある床材

また、床材にも配慮してあげることが大切です。例えば、ウレタン塗装の場合、表面がツルツルしているので、愛犬や愛猫がお家のなかを移動する際に滑りやすくなってしまうことがあります。コルクなど、クッション性がある材料のほうが、より安全と言えるでしょう。

プロが教える間取りづくりの極意 まとめ

間取りをつくる際は、 5年ごとのライフサイクルの変化やご家族がどのような点にこだわっているのかをしっかりと考えることが大切です。“これまで”だけでなく、“これから”の家族の形に目を向けながら、柔軟性のある間取りをつくってみてはいかがでしょうか。

新築一戸建て注文住宅購入者へのインタビュー記事はこちら

新築一戸建て注文住宅購入者のインタビュー記事
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