誰しも一度は遊んだことのある折り紙。動画共有サービスが発達した近年では、オリジナリティのある作品を紹介する動画も増えているようです。そこで、多くの創作折り紙を生み出している折り紙作家フチモトムネジさんに、ご自身のYouTubeチャンネル Muneji Fuchimoto ORIGAMI CHANNEL から「かわいい創作折り紙」をテーマに作品をピックアップしていただきました。折り方のポイントもご紹介します。
折り紙作家・グラフィックデザイナー&アートディレクター
2005年、当時幼稚園に通う長男の折り紙遊びがきっかけで創作折り紙を開始。動物やロボット等のモチーフを中心に「切らずに1枚で折る折り紙」の創作活動を続けている。
著書に「おりがみペットパーク」「オリガミレーサー」「モダンオリガミ」「オリロボ オリガミソルジャー」「おりがみペットアイランド」「オリパペ」「手間を楽しむ折り紙袋」「爬虫類・両生類折り紙」「折り紙昆虫記」「あっぱれ折り紙」などがあり、海外でも翻訳されている。
2021年3月より紙を使ったおもちゃの開発事業を開始。専用折り紙でロボットを作る「オリロボパーフェクトキット」や折り紙熱帯魚でモビールを作る「おりがみモビールキット」を発売中。
2022年5月2日に新刊「オリガミアドベンチャーランド」を発売。
フチモトムネジ オフィシャルブログ「 Enjoy Origami」
折り紙作家のフチモトムネジです。私の創作折り紙はすべて、一枚の紙で、切らずにつくる「不切正方形一枚折り」となっています。折るだけでモチーフを表現するのは簡単ではありませんが、自由度が低いなかで動物やロボットなどのさまざまな“かたち”を折り出す楽しさが魅力ですね。今回は難易度別に3種類の「かわいい創作折り紙」をご紹介しますので、ぜひ折り紙の楽しさに触れてみてください。
器用じゃなくても折れる? 折り紙の基本
昔は折り紙の設計図とも言える「折り図」を使っていたものですが、最近では動画を見て折り紙をする方が増えてきました。動画を参考にして折るときは、まずその動画を最初から最後までしっかり見ることをオススメします。動画を流しながら折ると、今の工程で何をかたちづくっているのか、イメージしにくいんですね。一度動画を通して見て、どんな工程を経て完成に至るのかがわかると、折りやすくなるはずです。技術面では、「角と角」や「フチとフチ」をしっかり揃えて、丁寧に折ることを心がけましょう。
折り紙は何度も折ることで上達するものなので、一度うまく折れなかっただけで諦めないことも大切です。工程の途中で紙が破れても、そこをテープで直して、とにかく最後まで折るようにしましょう。多少折り方を間違えていたとしても、一度でも完成させれば必ず技術は上達します。そうして2回目、3回目と折るたびにどんどん良い仕上がりになっていくわけです。
また、折り紙の上手さに年齢は関係ありません。今回ご紹介する3つの作品も、初級から上級までの難易度別になっていますが、初級が折れない大人の方もいれば、上級を難なく折れる小学生のお子さんもいます。なので、初心者の方は初級から始めて、徐々にステップアップしていただきながら楽しんでほしいですね。親子でどっちがうまく折れるか、競い合うのも良いと思います。
立体的でかわいい創作折り紙~初級~【グランピングアニマル・犬】
かわいい創作折り紙の初級は「グランピングアニマル・犬」です。これはグランピングが流行しているときに、テントから動物が顔を出していたらかわいいな、という発想から生まれました。立体的な折り紙のなかでは難易度が低いほうなので、初心者の方にもオススメですね。グランピングアニマルのシリーズとして犬、クマ、猫がありますが、今回は一番簡単な犬をピックアップしました。つくる際は、一度動画を通して見てから折り始めると良いでしょう。ここではいくつかのポイントを解説します。犬が折れるようになったらクマや猫もつくってみて、並べて飾るのもかわいいと思いますよ。
【グランピングアニマル・犬】ポイント①“折り筋”を付ける
まずは縦横4等分、対角線上にも“折り筋”を付けます。折り筋とは、きれいに、きっちり折るためのガイドラインのようなものですね。グランピングアニマルでは、立体的な部分がうまくつくれるように折り筋を付けています。
【グランピングアニマル・犬】ポイント②顔の折り方
動画の3:08〜の工程から、犬の顔をつくっています。折り紙に慣れていない方だと少し難しい工程ですね。斜めに入った折り筋をガイドラインにして、それぞれの線を揃えることを意識して折ってみましょう。
動画4:27〜5:12は犬の耳をつくる工程です。耳の部分が浮いてきたり、かたちが崩れたりするのを防ぐため、まず一度折ってから開き、さらに全体を折り返すという動作をしています。耳の角度は自由なので、かわいいと思う角度に調整してみてください。
鼻も自由な幅で折ってOKです。大きい鼻でも、小さい鼻でも、好きなタイプの犬の顔にしてみましょう。
最後のポイントは動画の6:45〜7:26、犬のあごをつくる工程です。右手でさわっている三角の部分を裏側に折り込んで折り筋を付け、そこを開いて折り筋の中心を押し込むことで、あごのかたちが整えられます。
きれいに押し込むコツは、開くときにきちんとした正方形をつくることです。
犬のあごをつくるとき、ただ裏に折り曲げるだけだと、完成時にテント部分の横の壁が開いてしまいます。あご部分はしっかりつくることを意識しましょう。
立体的でかわいい創作折り紙~中級~【猫】
かわいい創作折り紙の中級は、私のYouTubeチャンネルでもとくに再生回数やコメントが多い「猫」です。いただいたコメントを見ると「簡単に折れました」という方もいれば「難しくてつくれなかった」という意見もあり、反応はさまざまですが、それだけ多くの方がチャレンジしたくなるかわいい作品なのだと思います。
【猫】ポイント①つまみ折り
最初のポイントは、動画の0:49~の工程。ここでは“つまみ折り”をしています。これは、ふたつの折り目を交差させてつくった“角”を立ち上げて折る、というもので、ほかの作品にも度々登場しています。この機会に覚えておくと役に立つでしょう。
【猫】ポイント②折り筋を付け直す
動画の3:15〜の工程では、折ったものを一度開いてM字になっている部分を目安に折り畳んでいます。M字の上を山折り、下が谷折りになるよう、折り筋を付け直すところがポイントです。こうすることで、きれいに折り畳むことができますよ。
【猫】ポイント③前足の折り方
動画の4:08〜5:53が、猫の前足をつくる工程になりますが、最初につまみ折りしていた部分を引き出すところが少し難しいかもしれません。引き出す途中で引っかかる部分からクルッと裏返すのですが、どのように折っているかがわかりにくい場合は、動画を巻き戻して何度も見たり、スロー再生したりするのがオススメです。
【猫】ポイント④顔の折り方
猫にチャレンジされる方がおそらく一番苦戦するのが、立体的になっている顔の部分だと思われます。ポイントのひとつは動画の10:03〜の工程。顔をいったん、左右に折り畳んでから、真ん中部分を折りながら畳むようにしましょう。
動画の10:15〜の工程で、左手で猫の首部分をつまんでいるのは、頭の大きさを調節するためです。
動画の11:22〜の工程で耳を左右に広げているのは、額の部分を膨らませて丸く見せるためですね。顔を折るときは、きっちりと折り目を付けるのではなく、ふっくらとさせることを意識するとかわいく仕上がりますよ。
立体的でかわいい創作折り紙~上級~【パンダ】
パンダはかなり前に創作し、今でも根強い人気があるので上級に選びました。動画では黒の折り紙を使っていますが、ほかの色でカラーパンダをつくるのもオススメです。黒やそのほかの色と、裏面の白によるコントラストを折り出す楽しさを感じてほしいですね。動画では手元を見せるために30cm×30cmの大きな折り紙を使っていますが、一番ポピュラーな15cm×15cmのものでも折れると思います。作業が細かくて普通の折り紙では折りにくいという方は、少し大きめの17.8cm×17.8cm、もしくは24cm×24cmのものを使ってみても良いかもしれません。
【パンダ】ポイント①足の折り方
ひとつ目のポイントは、動画5:26〜の後ろ足をつくるところです。後ろ足になる黒い部分を引っ張りながら、クルッと回して折り畳む工程が少し難しいかもしれません。ちゃんと折れているか不安なときは、動画を何度か巻き戻し、ビフォーアフターを見比べてみると良いでしょう。
次のポイントは前足です。三角になっている部分から足先を折り出すのですが、この内側には折り紙の裏面である白い部分もあるため、間違えて足が白くならないように注意しましょう。
【パンダ】ポイント②胴体の折り方
動画の8:56〜、お腹の部分を内側に折り込む工程がありますが、これは胴体を細くするための作業です。動画内で折っている幅はあくまでも目安なので、この部分は好みの幅で折ってOK。折り込むときに両端がきちんと三角になるようにしましょう。
【パンダ】ポイント③顔の折り方
動画の10:48〜の工程では耳となる部分を折っています。上の図で表面を折り返していますが、「この幅で折りましょう」と決まっているわけではありません。左右を同じくらいの幅で折るよう気を付けながら、好みの幅で折ってください。
動画12:24〜の鼻部分の工程も、どれくらい折るかは自由です。鼻を大きくしたいときは深く折り、小さくしたければ浅く折りましょう。
動画13:45〜は目を折り出す工程で、内側から引き出した部分を使って目をつくっています。左右のバランスに注意し、同じような開き具合になるよう折りましょう。
プロがオススメする難易度別のかわいい創作折り紙3選 まとめ
今回、初心者でも折れる簡単な折り紙も含めて初級・中級・上級と難易度別に作品をご紹介しました。折り紙は1回完成させるごとに必ず上達するものです。初心者の方は、まずは初級からチャレンジしていただき、完成度がどんどん上がっていく達成感を味わってもらいたいですね。慣れてきたらほかの動物にもチャレンジして、オリジナルの創作折り紙動物園をつくるのも楽しいと思います。
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