災害時に愛犬・愛猫を守るには?防災アドバイザーが教えるペットの防災対策

災害時に愛犬・愛猫を守るには?防災アドバイザーが教えるペットの防災対策

災害から愛犬や愛猫の命を守る準備はできていますか?家族同然と言えるペットを災害から守るためにはどのような対策や備えが必要なのか、防災アドバイザーの高荷智也さんに伺いました。愛犬家、愛猫家の方は必見の内容です。

高荷智也(たかに ともや)
ソナエルワークス代表|備え・防災アドバイザー

「自分と家族が死なないための防災対策」のポイントをロジックで解説するフリーの専門家。大地震や感染症パンデミックなどの防災から、銃火器を使わないゾンビ対策まで、堅い防災を分かりやすく実践的に伝えるアドバイスに定評があり、講演・執筆・コンサルティング・メディア出演など実績多数。

公式サイト
備える.jp
https://sonaeru.jp


防災アドバイザーの高荷智也です。災害時にペットの命を一番に守れるのは飼い主に他なりません。自宅での対策や備蓄についての知識を事前にしっかりとおさえ、トラブルを未然に防ぎましょう。
また、ペットの防災対策は赤ちゃんの防災対策と通じるものがあります。赤ちゃんの防災対策については過去の記事でもご紹介していますので、気になる方は合わせてご参照ください。

赤ちゃんの防災対策について詳しく知りたい方はコチラ
https://myhomemarket.jp/magazine/30-disaster-04-baby/index.html

家庭でできるペットのための災害対策とは?

日頃から災害に備えたしつけをして飼育環境を整える

日頃から災害に備えた飼育環境を整える
日頃から災害に備えた飼育環境を整える

ペットを災害から守るには、常日頃からのしつけが大切です。特に小型犬や猫を避難所などへ連れて行く場合、ペットキャリーへ入れることが必須となります。避難時に備えて、日頃からペットキャリーに慣れさせておきましょう。ペットキャリーに入れるのを嫌がらないようにしつけておけば、避難時のタイムロスを防ぐことができます。
また、ケージなどのペット用スペースや寝床を置く場所にも配慮が必要です。窓ガラスや棚の近くにケージを置くと、ガラス片や落下物によって、ペットがケガしてしまうことがあるので気をつけましょう。

避難所にいかないための準備が大切

在宅避難の準備
在宅避難の準備

災害時、ペットと一緒に避難所へ入れるかどうか、入れたとしてペットを屋内と屋外、どこで保護するのかは、実際に避難所を運営する「町内会」などの対応により定まります。そのため、ペットの安全を考えると避難所に行かないための準備と対策、いわゆる「在宅避難」をより意識する必要があるのです。

在宅避難を行う場合、最も大切なことは、家を潰さないための対策です。家が潰れてしまっては、生活することも、ペットの命を守ることもできません。具体的なポイントで言うと、1981年の新耐震基準で建てられた家に住むこと、家具はL字金具等で床や壁にしっかりと固定すること、ガラスの飛び散りを防ぐ飛散防止フィルムを貼ることなどは必ず行うようにしましょう。もちろん備蓄も重要ですが、まずはご自宅の耐震構造や安全性のチェックが最優先です。

ペットを避難所で飼養できるかは避難所運営の方針により異なる

環境省のガイドラインでは、避難が必要な災害が発生した場合、飼い主はペットと一緒に安全な場所まで逃げる「同行避難」が基本的に推奨されています。ただ、飼い主がペットと一緒に避難所に入れるかどうか(「同伴避難」と言います)は、“その災害が発生した際”の避難所を運営する町内会の各リーダーに判断が委ねられます。極端な話、隣町では同伴避難ができても、ご自身の地域ではできないというケースがあるので、可能であれば避難所のペット受け入れ態勢を事前に確認しておくようにしましょう。もし、避難所に入れることが難しいのであれば、ペットの預け先をあらかじめ確保するなどの対策をしておけば安心でしょう。

飼い犬・飼い猫が迷子にならないための対策

飼い犬・飼い猫が迷子にならないための対策
飼い犬・飼い猫が迷子にならないための対策

災害時には愛犬や愛猫が行方不明になってしまうというケースもあるでしょう。そのような事態に備えて、首輪を付けておくことはもちろん、マイクロチップを装着させることもオススメです。
マイクロチップを装着しておけば、登録された15桁の番号を照合するだけで、飼い主の氏名や住所をすぐに導きだすことが可能です。電池も不要なので、充電切れの心配もありません。最近のペットショップでは、事前に施術を行っているので問題ありませんが、生後間もない子犬や子猫を知人から譲り受けた場合などは、飼い主が施術を受けさせる必要があります。動物病院に行けば1万円以内で対応してくれますが、マイクロチップに抵抗がある場合はGPS付きの首輪で代用しましょう。

ペット用の備蓄とは?

ペット用の備蓄とは?
ペット用の備蓄とは?

ペット用品はライフラインや流通がマヒした状況に備えて、最低でも1週間、できれば2週間程度は備蓄品で補えるようにストックしておきます。現在のように新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される状況であれば、2ヶ月程度の備蓄品があれば理想的です。具体的に必要となるのは、ペット用食料、飲料水、トイレ、衛生用品、その他飼育用具といったところでしょうか。災害発生時はペット用品の入手も難しくなりますので、日頃から必要な個数よりも1個か2個多めに購入し、備蓄に回すという習慣をつけておくといいでしょう。

地震に備えたペットの飼い方・守り方

ペットを地震から守るには、屋内の安全な場所で飼育できるよう準備をすすめる必要があります。普段からお家の中で飼っているペットならば、ペット用スペースを窓ガラスや棚の近くに設置しないことが重要です。一方、普段は外で飼育しているペットの場合、一時的にでもお家のなかに避難できるよう、スペースを確保しておきましょう。ご自宅が潰れない対策をしているのが大前提となりますが、ほかの建物などの倒壊からペットの命を守るには、屋内に連れ込むことが一番安全です。これは台風時にも言えることですが、例えば犬ならば、玄関や土間などで飼えるようにしておくといいでしょう。

台風に備えたペットの飼い方・守り方

台風の場合、室外で飼育しているペットは直に影響を受けてしまいます。普段、犬小屋などで飼育しているのであれば、ペットのサイズに見合った緊急避難用のケージは備えておきましょう。ただ、災害時にいきなり室内避難させると、環境の変化に上手く馴染めず元気をなくしたり、トイレが上手くできなくなったりする場合がありますので、可能であれば室内環境に慣れさせておくのもオススメです。

火災に備えたペットの飼い方・守り方

火災が起きた場合は、まず大声で周囲に火災を知らせ、次に119通報で消防を呼び、そして初期消火を行います。複数名がいればこれらを同時に実施してください。逆にそれ以外の行動は、正直行う暇はありません。初期消火に失敗した場合は、ペットをキャリーに入れて安全な距離まで避難しましょう。ただ、ペットがキャリーを嫌がることもあるかと思います。その場合の最悪の想定として、窓から愛犬、愛猫を逃すという選択肢も頭に入れておいてください。その選択を迫られる可能性は、ペットを飼われている方ならば少なからずあるかと思いますので、マイクロチップなどの迷子対策は事前に行っておくようにしてください。

ペットの防災対策について まとめ

ペットを飼うということは、ペットの命を守る義務が生まれるということです。赤ちゃん同様、ペットは自分自身で防災対策をすることはできませんので、飼い主がしっかりと対策をしてあげてくださいね。

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